余所者-よそもの-
「う……あ、」
目を覆いたくなるような惨状にとうとう声を上げると、動けなくなる私の手をサンコンが掴んだ。
「歩いて」
「サンコンさん、あれ、」
私の情けない声は後からの怒号がかぶさり、アーケードに反響する。
「クッソジジィがッ!!!次俺の店のモンに手ぇつけてみろ!ドヤまで追っかけててめぇごと燃やすからな!!」
返り血に濡れた男の表情は狂気じみていた。
何度も何度も罵倒をし、アーケードは怒りの声で満ちている。
サンコンは痛いくらいに私の腕を強く引き、声が聞こえなくなるところまで走って、やがて足を止めた。
「カナコさん。昨日潤が言った通り、この街はイカれてます」
「………」
「ほとんどの人間が善悪の判断が曖昧で、難しい」
いつしか私の頭上には空があった。
私はズレたキャップの位置を直して、ソワソワと乱れた格好を整えながら、サンコンの話を聞いた。