恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 玄関先でこんなふうに抱き締められるのは初めてだった亜佑美は突然腕の中へ閉じ込められて包み込むような温もりに触れ、驚きと心地よさが入り混じり頭の中が真っ白になってしまう。

「……あ、あの、とりあえずリビングに行こう?」

 ようやく絞り出した声に朝陽は、「……すみません」と謝りながら少しだけ身体を離したものの腕は解かれず、真っ直ぐに見つめる瞳には隠しきれない熱が宿っていた。

「早く二人きりになりたかったから、今、本当に余裕がなくて」

 その言葉に亜佑美は思わず息を呑む。

 胸の奥が甘く疼き、視線を逸らそうとしても逸らせない。

 二人は自然と見つめ合い、やがて朝陽の指先がそっと亜佑美の顎に触れて優しく持ち上げたーー次の瞬間、静かに唇が重なった。

「……っ」

 触れるだけだった口づけは互いを確かめ合うように何度も重ねられ、そのたびに亜佑美の呼吸は少しずつ乱れていく。

「ーーっん、……はぁ、」

 夢中で求められた亜佑美は朝陽の胸元をきゅっと掴むことしか出来ないくらい、朝陽のペースに飲まれていく。

 初めて身体を重ねたあの日以降、二人は週末を迎えるたびに同じ時間を過ごし、少しずつ距離を縮めてきた。

 当初はどこかぎこちなさの残っていた朝陽も今では戸惑いを見せることなく、ごく自然に亜佑美をリードしていけるようになっていた。

(玄関先でこんな……)

 こんなことはいけないと分かっているのに、駄目だと思えば思うほど期待してしまう自分がいて、亜佑美の中の羞恥心は募るばかりだった。
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