恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「今、誰かが俺の部屋のインターホンを鳴らしたんです……」
『マジか……。響のやったことも大概だけど、正直その相手は危険だ。お前が一緒に居るって分かっててそういうことしてくるんだろ?』
「……はい」
『とりあえず警察に――いや、インターホン鳴らすだけじゃ取り合ってくれないか……とにかく、このままで済むとは思えない。今に直接何かして来るかもしれないからくれぐれも用心しろ。いいな?』
「はい、ありがとうございます」

 直人との電話を終えた朝陽は怯える亜佑美の身体を抱き締めると、陽向に向かってこう口にする。

「陽向、悪いけど当分家に泊まってくれないか? 俺一人より男が二人居た方が何かあった時に対応出来るから」
「まあ、兄ちゃんたちが良いなら俺は構わねぇけど……」
「亜佑美さんも、それで良いですか?」
「……うん、ごめんね、陽向くんにまで迷惑掛けて……」
「いや、別に迷惑とか思ってねぇよ。つーか結局犯人誰なんだよ? その取り引き先の男じゃなかったのかよ?」
「違うんだ……。その田仲さんは今、先輩と一緒に居るらしい。それに、田仲さんは俺のマンションを知らないって。確かに先輩にも詳しい住所を教えたことはないし……後をつけない限り分からないと思う」
「けど、そいつが亜佑美サンに付き纏ってたんじゃねぇの? 声掛けて来たじゃん」
「あれは、いつも俺が傍に居て話すタイミングが無かったから、先輩から偶然俺が出張に行く話を聞いたことで、その日なら話せるかもと思って声を掛けたって」
「何だよ、紛らわしいな……」
「でも、私の自宅最寄り駅でも見掛けたことあるよ……」
「それも、知り合いがその駅の近くに住んでて偶然だって……本人が言うには、流石に嫌がらせはしないって」
「……だったら、誰なんだよ?」
「それが分かったら苦労しないって。とにかくこの先何かしてくる可能性もあるから、亜佑美さんは一人で行動しないでください」
「……で、でも……」
「大丈夫、何があっても俺が守りますから信じてください」
「朝陽くん……。でも、朝陽くんや陽向くんに何か危害が加えられても嫌なの……だから……」
「平気だって、俺や兄ちゃんはそう簡単にやられたりしねぇから。俺ら、中学まで空手習ってたし。な、兄ちゃん」
「そんなに強い訳じゃないですけど、護身術程度には役に立つと思いますから」
「……そっか……。でも、無理はしないでね」
「分かってます。何とかして、犯人を捕まえましょう」

 こうして三人は正体分からぬ犯人への対策を考えていった。
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