恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
『朝陽くん?』

 突然黙り込んだ朝陽を不思議に思ったのか、電話の向こうから亜佑美が名前を呼ぶ。

「……あ」

 その声で朝陽はハッと我に返った。

「す、すみません……」
『どうしたの?』
「いえ、とにかく……詳しい話はまた後で聞かせてください。もう仕事に戻らないとならないので……すみません」

 自分の気持ちを悟られないよう何とか平静を装うと、昼休みの終わりを告げるチャイムが無情にも鳴り響いた。

『うん、分かった。忙しいところごめんね。お仕事頑張ってね』
「はい、亜佑美さんも頑張ってください」
『ありがとう』

 名残惜しさを覚えながらも朝陽は電話を切った。

 画面の消えたスマートフォンを見つめながら朝陽は思う。

 同期とはどのくらい仲が良いのか。

 普段から昼食を共にしているのか。

 お互い、どう思っているのか。

 そんなことばかりが頭をよぎる。

「……俺、何やってるんだろ……」

 自分でも呆れる程の嫉妬心に朝陽は小さく息を吐いた。

 亜佑美を心配しているはずなのに、気づけば別の男の存在に心を乱されている。

 そんな自分の感情に苦笑しつつ、朝陽は仕事へ戻っていった。

 一方亜佑美は、

「……朝陽くん、元気無かった……また心配させたよね……負担かけ過ぎてるし……」

 朝陽の様子がどこか変だったことが気になり、昼休みの出来事といい不安な気持ちは増していくばかりだった。
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