恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 その様子見ていた陽向がグラスを手に取りながら口を挟む。

「まあ、どんな奴か分かったのは良かったよな。でも、そういう風貌の奴に心当たりはねぇんだろ?」
「うん……」

 相手が誰なのかまでは分からないことに落胆する亜佑美を見た界人は少しだけ眉を寄せて本題を切り出す。

「それで、今日こうして話をしようと思った理由なんですけど……」

 界人は一度朝陽へ視線を向けた。

「会社に居る間の木葉のことは、俺に任せて欲しいんです」
「……え?」
「その、彼氏さんがいるのに俺が出しゃばるのもどうかと思ったんですけど……木葉とは同期で、それなりに付き合いもあります。困ってるなら助けてやりたいと思ってます」

 その声には軽い気持ちなど微塵もなかった。

「それに、ストーカー被害って下手をすれば命に関わるじゃないですか。何か起きてからじゃ遅い。だから、俺に出来ることがあるなら協力したいんです」

 界人はそこで言葉を切ると朝陽をまっすぐに見た。

「もちろん、俺一人でどうにか出来るなんて思ってません。何か変なことがあったらすぐに伝えますし、木葉が一人にならないよう気をつけます。会社にいる間は俺が近くにいることで少しでも安心出来るならそれが一番かと」

 朝陽は黙って界人の話を聞いていて、亜佑美と陽向が複雑な表情を浮かべながら二人のやり取りを見守っている。

 界人の話をひと通り聞いた朝陽は少し悩んだ後で口を開いた。
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