恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「ありがとうございます。悔しいけど、仕事中だけは俺にはどうすることも出来ません……ですから、その間だけ、亜佑美さんのことをよろしくお願いします」
「朝陽くん……」

 笑顔を浮かべている朝陽だけど、胸の内は穏やかではないだろうし悔しいに決まってると、陽向は感じていた。

 けれど、仕事中はどうにもならないことを理解しているからこそ、その間だけは他の男に頼るしかないのだろう。

「それが聞けて安心しました。会社にいる間はしっかり俺が目を光らせておきますね」

 一見話は纏まったかに思えたものの、やはり朝陽の心中には複雑な思いがあった。

「すみません、ちょっとお手洗いに」

 そう言って個室を出た朝陽はトイレでは無く店の外へ。

 一旦心を落ち着ける為に一人になり、外の空気が吸いたかったのだ。

(……職場が違うんだから、仕方ないんだ……)

 納得したように見えたが朝陽は納得しきれていなかった。

 それもそのはず、例えどのような状況下に置かれているとしても、大切な彼女を他の男に託す……それがどんなに屈辱的なことか、朝陽の悔しさは計り知れない。

(……北丘さん、亜佑美さんのことを本当に『同期』としてだけで見てるんだろうか……)

 朝陽の中で引っかかっているのは、界人が亜佑美を『同期』として見ているのか、それともそれ以外の感情があるのかということ。

 知りたいけれど朝陽の性格的にそこには触れられず、余計にモヤモヤが募っていた。

 すると、そんな朝陽の元へ誰かがやって来た。
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