恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
《さっきの合コンの件だけど、参加でいいよね?》

 メッセージは友人からで、なかなか返信が無いことから再度送ってきたようだ。

 朝陽も画面を見てしまったらしく、ほんの少しだけ視線を泳がせ、気まずい空気が流れていく中、亜佑美は慌てて通知を閉じた。

「あ、そ、そうだ!」

 そして、誤魔化すように声を上げる。

「私SNSやってて、カフェでの写真載せてるから、良かったらフォローして欲しいな」

 すると朝陽は申し訳なさそうに眉を下げた。

「あ、すみません。俺、SNSとかやってなくて……」
「え?」

 今どき珍しい返答に亜佑美が目を丸くすると朝陽は困ったように笑う。

「でも、木葉さんの投稿見たいから始めてみようかな! 良かったらやり方、教えて貰ってもいいですか?」
「……え」

 一瞬、言葉が出なかった。

(私の投稿を見るために?)

 これまでSNSをやっていなかったのに、自分の投稿を見るという理由でわざわざ始めようとするなんて驚きしかない。

 けれど、亜佑美は嬉しくなったのか自然と頬が緩む。

「もちろん。じゃあまずアプリ入れないとだね」
「はい!」

 亜佑美に言われ朝陽は素直にスマートフォンを取り出すと、アプリをダウンロードしてアカウント登録、プロフィール設定まで一つ一つ教えて貰う。

「名前って本名の方がいいんですか?」
「別にニックネームでも大丈夫だよ」
「うーん、どうしよう……」

 名前一つに本気で悩み始める姿が可笑しくて、亜佑美は思わず吹き出した。

「そんな真剣に考えなくても」
「で、でも、名前って大切じゃないですか」
「ふふっ、確かに」

 そんなやり取りをしているうちに、長いと思っていた待ち時間は驚くほどあっという間に過ぎていく。

 そして亜佑美は改めて思った。

 朝陽といると本当に退屈しないし、むしろ、もっと一緒に居られたら良いのにと。
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