恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
その背中が完全に見えなくなってから朝陽が振り返る。
「大丈夫でしたか、木葉さん」
「あ、うん……」
「週末のこの時間はああいうのも多いから、くれぐれも気をつけてください。何かされたりしてませんか?」
「うん、それは……。でも」
「でも?」
「あの人、“ここで結構見掛ける”って言ってたから……少し気味悪いなって」
自宅が近所なら見掛けること自体は不思議ではない。
それでも、“見ていた”と言われたようで、背筋がぞわりとした亜佑美が少し怯えたように眉を下げるのを見て、朝陽は困ったようにため息を吐いた。
「だから言ったでしょ? 時間なんて関係ないって」
「……うん」
「これからは帰る時、ちゃんと周りを警戒してください」
「うん……」
「なるべく人通りのあるうちに帰ってください」
「……うん」
「今日みたいに遅くなるなら、タクシーでマンション前まで行くのが一番だと思いますよ」
「……だよね」
まるで言い聞かせるみたいに次々注意を並べる朝陽に亜佑美は申し訳なくなりながら頷く。
「でも、それでも不安だったり怖いなって思うことがあったら、その時は――」
何故かそこで言葉が区切られ、亜佑美は小さく首を傾げる。
「……その時は?」
そして次の瞬間、朝陽はパっと顔を上げた。
「その時は、いつでも俺を頼ってください! すぐに駆けつけるんで!」
それは迷いのない声で、真っ直ぐで力強くて頼もしい。
その言葉だけで亜佑美の中に生まれていた不安が少し薄れていき、ふっと頬を緩めた。
(……本当に、頼れる人だな)
きっと朝陽は、こうやって誰にでも優しく出来る人なんだろう――そう思いつつも、“いつでも頼ってください”なんて、自分だけに向けられたみたいに聞こえてしまった亜佑美は意識せずにはいられなかった。
「大丈夫でしたか、木葉さん」
「あ、うん……」
「週末のこの時間はああいうのも多いから、くれぐれも気をつけてください。何かされたりしてませんか?」
「うん、それは……。でも」
「でも?」
「あの人、“ここで結構見掛ける”って言ってたから……少し気味悪いなって」
自宅が近所なら見掛けること自体は不思議ではない。
それでも、“見ていた”と言われたようで、背筋がぞわりとした亜佑美が少し怯えたように眉を下げるのを見て、朝陽は困ったようにため息を吐いた。
「だから言ったでしょ? 時間なんて関係ないって」
「……うん」
「これからは帰る時、ちゃんと周りを警戒してください」
「うん……」
「なるべく人通りのあるうちに帰ってください」
「……うん」
「今日みたいに遅くなるなら、タクシーでマンション前まで行くのが一番だと思いますよ」
「……だよね」
まるで言い聞かせるみたいに次々注意を並べる朝陽に亜佑美は申し訳なくなりながら頷く。
「でも、それでも不安だったり怖いなって思うことがあったら、その時は――」
何故かそこで言葉が区切られ、亜佑美は小さく首を傾げる。
「……その時は?」
そして次の瞬間、朝陽はパっと顔を上げた。
「その時は、いつでも俺を頼ってください! すぐに駆けつけるんで!」
それは迷いのない声で、真っ直ぐで力強くて頼もしい。
その言葉だけで亜佑美の中に生まれていた不安が少し薄れていき、ふっと頬を緩めた。
(……本当に、頼れる人だな)
きっと朝陽は、こうやって誰にでも優しく出来る人なんだろう――そう思いつつも、“いつでも頼ってください”なんて、自分だけに向けられたみたいに聞こえてしまった亜佑美は意識せずにはいられなかった。