恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
溢れる想い
そんなことを考えているうちに二人は亜佑美の住むマンションへと辿り着いていた。
エントランス前で足を止めた朝陽は、
「それじゃあ、俺はこれで」
そう言って微笑むと、来た道へ向かって踵を返す。
「あっ……」
亜佑美の口から思わず漏れた声に朝陽が振り返った。
「どうしました?」
「えっと、その……」
引き止めたものの、理由が見つからない。
ただ、このまま別れてしまうのが惜しくて。
「あの……よかったら、上がっていかない?」
口にした途端、亜佑美は自分でも何を言っているのかと思った。
朝陽も僅かに目を見開いている。
「ご、ごめん! 変な意味じゃなくて……! その、送ってもらったし、お礼とか……」
慌てて言い訳を重ねる亜佑美だったが、何のお礼をするつもりなのか自分でも分からない。
時刻は午後十一時を回っているし、こんな時間に引き止めるなんて迷惑だったかもしれない。
そう思うと申し訳なさが込み上げた。
一方の朝陽も少し困ったような表情を浮かべる。
恋人でも家族でもない男が、こんな時間に女性の部屋へ上がるのはどうなのか。
そんな葛藤が見えた。
「お気持ちは嬉しいですけど……今日はもう遅いので」
「……そう、だよね」
亜佑美は小さく笑う。
「ごめんね、変なこと言って」
「いえ」
「今日は本当にありがとう」
「こちらこそ。それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ。気をつけて帰ってね」
「はい」
そうして朝陽は再び頭を下げると駅へ向かって歩き出した。
亜佑美はその背中を見送る中、遠ざかっていく姿を見ているうちに胸の奥がきゅっと締め付けられた。
まだ帰ってほしくない。
もう少しだけ一緒にいたい。
そんな我儘な気持ちが膨らんでいく。
「……何考えてるんだろう、私」
小さく呟きながらマンションへ入り、エレベーターのボタンを押す。
到着を告げる音が鳴って扉が開いたけれど――亜佑美は乗り込めなかった。
そして気付けばバッグからスマートフォンを取り出し、履歴から朝陽へ発信していた。
エントランス前で足を止めた朝陽は、
「それじゃあ、俺はこれで」
そう言って微笑むと、来た道へ向かって踵を返す。
「あっ……」
亜佑美の口から思わず漏れた声に朝陽が振り返った。
「どうしました?」
「えっと、その……」
引き止めたものの、理由が見つからない。
ただ、このまま別れてしまうのが惜しくて。
「あの……よかったら、上がっていかない?」
口にした途端、亜佑美は自分でも何を言っているのかと思った。
朝陽も僅かに目を見開いている。
「ご、ごめん! 変な意味じゃなくて……! その、送ってもらったし、お礼とか……」
慌てて言い訳を重ねる亜佑美だったが、何のお礼をするつもりなのか自分でも分からない。
時刻は午後十一時を回っているし、こんな時間に引き止めるなんて迷惑だったかもしれない。
そう思うと申し訳なさが込み上げた。
一方の朝陽も少し困ったような表情を浮かべる。
恋人でも家族でもない男が、こんな時間に女性の部屋へ上がるのはどうなのか。
そんな葛藤が見えた。
「お気持ちは嬉しいですけど……今日はもう遅いので」
「……そう、だよね」
亜佑美は小さく笑う。
「ごめんね、変なこと言って」
「いえ」
「今日は本当にありがとう」
「こちらこそ。それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ。気をつけて帰ってね」
「はい」
そうして朝陽は再び頭を下げると駅へ向かって歩き出した。
亜佑美はその背中を見送る中、遠ざかっていく姿を見ているうちに胸の奥がきゅっと締め付けられた。
まだ帰ってほしくない。
もう少しだけ一緒にいたい。
そんな我儘な気持ちが膨らんでいく。
「……何考えてるんだろう、私」
小さく呟きながらマンションへ入り、エレベーターのボタンを押す。
到着を告げる音が鳴って扉が開いたけれど――亜佑美は乗り込めなかった。
そして気付けばバッグからスマートフォンを取り出し、履歴から朝陽へ発信していた。