恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 亜佑美はスプーンでオムライスを一口すくってぱくりと口へ運ぶと、ぱっと明るくなった。

「んーっ、美味しい!」

 素直な感想に朝陽の頬も自然と緩む。

「本当ですか?」
「うん! 卵もふわふわだしケチャップライスも丁度いい味。お店で出てきてもおかしくないくらいだよ」
「それは褒めすぎですよ」

 照れたように笑いながらも、その言葉は素直に嬉しかった朝陽。

 自分の作った料理を美味しそうに食べてくれる、ただそれだけのことなのに胸の奥が温かく満たされていく。

「次は私が作るからね」
「本当ですか? 楽しみにしてますね!」
「何が食べたい?」
「そうですね……亜佑美さんの得意料理が食べたいです」
「えー、それはずるい質問返しだなぁ。得意って訳じゃないけど、洋食なら……ハンバーグとかグラタンとか?」
「どっちも好きです」
「ふふ、即答だ」
「本当に好きなので」

 それからも二人の会話は途切れない。

 最近見つけた店の話に、食べてみたいスイーツの話。

 それから子供の頃に好きだった料理の話など、何気ない話題ばかりだったが時間はあっという間に過ぎていった。

 その後食事を終えた後は二人で後片付けを済ませ、コーヒーを片手にソファーへ並んで腰を下ろし、それぞれスマートフォンを手にする。

「今度行くカフェ、どこにします?」
「そうそう! この前見つけたところ気になってるんだよね」

 待ってましたと言わんばかりに亜佑美が画面を開くと、木目調の落ち着いた内装と色鮮やかなスイーツが並ぶ写真の数々を見せていく。

「いいですね」
「でしょ?」

 その後も二人であれこれ候補を見比べていると、ふいに亜佑美のスマートフォンが震えた。

 画面に表示された名前を見た瞬間、朝陽は思わず身構える。

 もしかして、さっきの元恋人だろうかと。

 しかし、表示されていたのは別の名前だった。
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