恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「……あ、……えっと……」

 こういう時、なんと答えるのが正解なのか分からない朝陽は暫く言葉を探すと、意を決したように口を開いた。

「……俺も、まだ一緒に居たいです。その……正直に言うと離れたくないし、離したくないです」

 それは飾り気のない真っ直ぐな本音で、その言葉を聞いた瞬間、亜佑美の胸がじんわりと温かくなる。

 一緒に居たいと思っていたのは自分だけでは無くて、朝陽も同じ気持ちでいてくれたのだと思うと嬉しくて、そしてもっと一緒に居たいという想いがより一層強くなっていく。

「……朝陽くん」
「はい?」
「今夜、私の部屋に泊まらない?」
「……っ!」

 亜佑美の誘いに思わず目を見開く朝陽。

 そんな彼を見つめながら亜佑美は少しだけ不安そうに首を傾げた。

「…………駄目?」

 そんな顔をされたら、断れるはずがなかった。

「……駄目じゃないです! その、亜佑美さんが良いなら……泊まらせてください!」

 朝陽は覚悟を決めたように亜佑美の誘いを受けることにした。

「それじゃあ、途中でコンビニに寄りますね。何も用意してきてないので」
「あ、うん。そうだよね」

 二人はそのまま近くのコンビニへ立ち寄り、朝陽は下着や歯ブラシなど必要なものを買い揃えていく。

 そして店を出て車を走らせ、亜佑美の住むマンションへと向かった。

 マンションに着いた二人はエレベーターで部屋の前までやってくる。

 それまで自然に会話をしていたはずなのに、部屋に近づくたびにどこか気恥ずかしくなってしまったのか、玄関を開けて中へ入る頃には無言になってしまっていた。

 静かな空気が流れる中、先に口を開いたのは亜佑美だった。

「あの、お風呂、お湯張ろうか?」
「いえ、その……俺はシャワーだけで大丈夫です」
「そっか。それじゃあ先に入って。今タオル出すから」
「俺は後で大丈夫ですから、亜佑美さんが先に入ってください!」

 慌ててそう言う朝陽に亜佑美は小さく笑う。

「いいの。朝陽くんが先に入って」
「……分かりました、それじゃあ、お言葉に甘えて」

 リビングに荷物を置くと、朝陽は少し緊張した面持ちのまま浴室へ向かって行き、一人残された亜佑美は閉まった浴室の扉を見つめながら、静かに胸の鼓動を感じていた。
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