恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「そうだったんですね。でも、良かったんですか? お兄さんが来た時に困るんじゃ……」
「平気だよ。お兄ちゃん最近は全然来ないし、来るって分かった時にでも用意しておけばいいからさ」
「そう、ですか」
「それじゃあ、私もシャワー、浴びて来るね?」
「あ、はい、その……ごゆっくり」

 入れ違いに亜佑美が浴室へ向かうと、再び訪れた緊張に朝陽はひとまずスマートフォンを手に取った。

「……どうしよう、こういう時、どうするべきなんだ?」

 スマートフォンを手にしたは良いけれど、そこからどうするべきか悩む朝陽。

 未経験ではあるけれど、一般常識としてある程度の知識は備えているし、コンビニでは下着などと一緒に避妊具も購入したし、最低限の準備は整えていた。

 ただ、亜佑美は経験がある以上やはり緊張してしまうのも無理は無い。

(上手く出来なかったらどうしよう……、他の人と比べられたりするよな……きっと……)

 技術面はどうにもならなくても、せめて雰囲気だけは壊さないよう、心を落ち着けることに集中する朝陽はスマートフォンを置いた。

 その時、誰かからメッセージが届いたようなのだが朝陽は気づいておらず、そのままになってしまう。

 一方亜佑美はというと、シャワーを浴びながら騒がしい胸の鼓動を落ち着けるのに必死だった。

(……初めてって訳じゃないのに、緊張する……)

 今回、経験が無い異性と交際するのが初めてな亜佑美にとって、こういった場合自分はどうするべきなのか悩んでいた。

(……朝陽くん、そういったことに知識、あるのかな?)

 先程朝陽がシャワーを浴びている時にチラリとコンビニ袋を覗いた亜佑美は、彼が避妊具を購入していることは確認済だった。

(朝陽くんらしいって言えば、らしいよね)

 避妊は大前提ではあるが、亜佑美が過去に付き合った男の中には準備して来ない男がいたこともあり、そこに関しては特に気になっていたようでひと安心する。

(……やっぱり、私がリードするべきなのかな……)

 全てを朝陽に委ねるか、それとも自分がある程度リードすべきなのか、結局答えが出ないまま亜佑美はシャワーを浴び終えて朝陽の待つリビングへ戻ることになった。
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