恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 亜佑美の小さな唇が朝陽を求めて貪り、それを繰り返すうちに互いの息が荒くなる。

 初めは戸惑いばかりだった朝陽も濃厚なキスの回数を重ねる毎に少しずつ慣れていき、亜佑美の背に手を回して自分からも求めていく。

 息を吸おうと亜佑美がほんの少し唇を開くと、その隙間から朝陽の熱い舌が捩じ込まれてくる。

「……っんん、……はぁっ、ん、」

 朝陽の方からそれをしてくるとは思っていなかった亜佑美は驚くもすぐにそれに応えていき、室内には唾液が混ざり合う厭らしい水音と、荒い息遣いや甘い吐息が響いていく。

 慣れていないこともあり、少々勢い任せの荒々しいキスだけど、それでも亜佑美は自分を求めてくれることが嬉しかった。

「……っ、あさ、ひ……っくん、」

 何度交わしたか分からない口付けの合間に名前を口にした亜佑美の声で我に返った朝陽。

「……はぁっ、……す、すみません……、俺……っ、」
「いいの、……謝らないで? 嬉しいよ? その、そろそろベッド、行こう?」

 亜佑美にベッドへ行こうと誘われたことで蒸気していた身体は更に温度が上がる。

 瞳を潤ませながら誘ってくる亜佑美の身体を抱き上げようとした、その時、ブブッという電子音が聞こえてくる。

「……電話?」
「……そうかもですけど、いいです。今は」

 鳴っているのは朝陽のスマートフォンで、亜佑美は気になっているようだけれど朝陽は全く気にしていない。

 勿論、このまま無視しても良いのかもしれないが、誰からなのかも気になるし、何か急用かもしれないと思った亜佑美は、

「……確認だけ、したら?」

 そう助言する。

「いや、大丈夫です。ほら、切れたし。特に約束とかもしてないですから、誘いの電話なら出ると余計面倒ですし」

 会話をしている間に電話が切れてしまったこともあり朝陽がそう言うなら気にするのは止めよう、そう思って彼に身を預けようとし、その時、またしても電子音が鳴り始めた。

「……すぐに掛けて来るなんて、急用なんじゃない?」
「……すみません、ちょっと確認だけ」

 このままじゃ集中出来ないと諦めた朝陽は亜佑美から離れて手を伸ばしてテーブルに置いていたスマートフォンを手に取って相手を確認すると、

「……はぁ……」

 深く溜め息を吐いたことで何事かと思った亜佑美が、「どうしたの? 誰から?」と訊ねると、

「弟からです……」

 そう、どこか気まずそうに返してきた。
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