恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
その間も朝陽は、「熱くないですか?」とか、「無理しないでくださいね」と時折声を掛けつつ隣で見守っている。
そして食べ終える頃には、身体もかなり楽になっていた。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした」
朝陽は空になった食器を受け取ると、そのままキッチンへ向かう。
水の流れる音や食器の触れ合う音を聞きながら、亜佑美はぼんやり時計へ目を向けた。
「……え」
時刻は、午後八時を少し回っている。
電話を掛けたのが昼過ぎ頃だったことを思えば、いつの間にかかなり時間が経っていたらしい。
(そんなに居てくれてたんだ……)
少しして、洗い物を終えた朝陽が戻ってきた。
「それじゃあ、俺はそろそろ帰りますね」
そう言いながら軽く頭を下げる。
「……あの、今日は本当にありがとう」
亜佑美が素直に礼を言うと、朝陽は少し照れたように笑った。
「いえ。ご迷惑にならなかったなら良かったです」
それから安心したように亜佑美の顔を見る。
「それに、だいぶ顔色も良さそうなので安心しました!」
その言葉に、亜佑美の胸は少しだけ胸が温かくなった。
「見送る……」
ベッドから降りようとすると、朝陽は慌てて首を振る。
「あっ、ここで大丈夫です! まだちゃんと休んでてください」
「でも……」
「その、鍵だけ貸してもらえれば、外から閉めてポスト入れておくので」
そこまで言われ、亜佑美は観念して鍵を渡した。
「……本当にありがと」
「はい。それじゃあ、おやすみなさい」
朝陽は柔らかく笑うと、そのまま玄関へ向かう。
扉が閉まるとすぐに鍵の閉まる音が聞こえ、それからカタンとドアポストに鍵が落ちる小さな音が聞こえてくる。
「…………」
一人になった部屋は急に静かだった。
さっきまで誰かがいた気配が消えてしまい、ほんの少しだけ寂しく感じる亜佑美。
(……何なの、これ)
そんなことを思いながらぼんやり天井を見ていると、枕元のスマートフォンが震えた。
画面を見ると、朝陽からのメッセージだった。
《早く良くなると良いですね。だけど無理はしないでください》
《何かあればまたいつでも声掛けてくれたら嬉しいです! いつでも飛んで行きますから》
どこまでも真面目で真っ直ぐな言葉に、
「……ふふ」
亜佑美の口から思わず小さく笑みが漏れる。
その文章を見た瞬間、胸の奥がじんわり温かくなるのと同時に、心臓の奥が微かにきゅっと鳴る。
ただ間違えて電話を掛けただけだったけれど――。
(……相手がこの子で良かったかも)
亜佑美は暫く画面を見つめた後、ゆっくり返信を打ち込んだ。
《ありがとう、助かった。今度ちゃんとお礼させてね》
送信ボタンを押し、スマートフォンをそっと置く。
熱で重かったはずの身体は、不思議なくらい軽くなっていた。
そして食べ終える頃には、身体もかなり楽になっていた。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした」
朝陽は空になった食器を受け取ると、そのままキッチンへ向かう。
水の流れる音や食器の触れ合う音を聞きながら、亜佑美はぼんやり時計へ目を向けた。
「……え」
時刻は、午後八時を少し回っている。
電話を掛けたのが昼過ぎ頃だったことを思えば、いつの間にかかなり時間が経っていたらしい。
(そんなに居てくれてたんだ……)
少しして、洗い物を終えた朝陽が戻ってきた。
「それじゃあ、俺はそろそろ帰りますね」
そう言いながら軽く頭を下げる。
「……あの、今日は本当にありがとう」
亜佑美が素直に礼を言うと、朝陽は少し照れたように笑った。
「いえ。ご迷惑にならなかったなら良かったです」
それから安心したように亜佑美の顔を見る。
「それに、だいぶ顔色も良さそうなので安心しました!」
その言葉に、亜佑美の胸は少しだけ胸が温かくなった。
「見送る……」
ベッドから降りようとすると、朝陽は慌てて首を振る。
「あっ、ここで大丈夫です! まだちゃんと休んでてください」
「でも……」
「その、鍵だけ貸してもらえれば、外から閉めてポスト入れておくので」
そこまで言われ、亜佑美は観念して鍵を渡した。
「……本当にありがと」
「はい。それじゃあ、おやすみなさい」
朝陽は柔らかく笑うと、そのまま玄関へ向かう。
扉が閉まるとすぐに鍵の閉まる音が聞こえ、それからカタンとドアポストに鍵が落ちる小さな音が聞こえてくる。
「…………」
一人になった部屋は急に静かだった。
さっきまで誰かがいた気配が消えてしまい、ほんの少しだけ寂しく感じる亜佑美。
(……何なの、これ)
そんなことを思いながらぼんやり天井を見ていると、枕元のスマートフォンが震えた。
画面を見ると、朝陽からのメッセージだった。
《早く良くなると良いですね。だけど無理はしないでください》
《何かあればまたいつでも声掛けてくれたら嬉しいです! いつでも飛んで行きますから》
どこまでも真面目で真っ直ぐな言葉に、
「……ふふ」
亜佑美の口から思わず小さく笑みが漏れる。
その文章を見た瞬間、胸の奥がじんわり温かくなるのと同時に、心臓の奥が微かにきゅっと鳴る。
ただ間違えて電話を掛けただけだったけれど――。
(……相手がこの子で良かったかも)
亜佑美は暫く画面を見つめた後、ゆっくり返信を打ち込んだ。
《ありがとう、助かった。今度ちゃんとお礼させてね》
送信ボタンを押し、スマートフォンをそっと置く。
熱で重かったはずの身体は、不思議なくらい軽くなっていた。