選べなかった恋の続きを、君と紡いで
 ショックと一緒に胸にあるのは、たぶん焦りだ。

 この前汐月くんは「好きなことを仕事にできている」と褒めてくれたけれど、正直なところ今の私は伸び悩んでいる。やりたいこと、伝えたいテーマも結局うまく落とし込めていない。

「何が正しいんだろ。どうすれば通るんだろう……」

 面白いもの、求められているもの、挑戦したいこと。その輪郭が掴めなくて、出口の見つからない迷路に放り込まれたような気分だった。

 とにかく、まずは要求されているものを作らないと。フィードバックを細部まで読み直す。それから市場分析をやり直そうか。気になるテーマやモチーフ、登場人物の心情を一回書き出してみよう。心を落ち着かせるように愛用のノートを開く。けれど、ペンを持った手はなかなか動かなくて無意識に大きなため息を吐き出してしまった。

 もし、次もダメだったら。大椛さんにも諦められてしまったら――。

 作家として私はこの先もやっていけるのだろうか。

 強い不安に覆われそうになったその時、重い空気を割くように今度はパソコンではなくスマホが音を立てる。メッセージアプリの通知だった。

「え。汐月くんから?」

 先日食事に行った夜に連絡先を交換し、その夜寝る前にお礼を送り合って以来のメッセージだった。

「……『金曜日、空いてたらご飯でもどうかな』……?」
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