選べなかった恋の続きを、君と紡いで
下げた頭に落ちてきた優しい声。
顔を上げると、穏やかなかんばせに迎えられた。
「あの時、遠慮されてたほうが寂しかったと思う」
「……寂しい……」
「逆の立場だったらそうじゃないか?」
「確かに……」
友人の体調不良は心配だし、頼ってもらえたり力になれたりすると素直に嬉しいと感じる。相手が頼られるほどの距離感でいられているのだと、信頼を感じるから。だから汐月くんや莉乃――大事な友人が同じような連絡をくれていたら、私はお見舞いに駆け付けた気がする。
汐月くんも同じなのだとしたら。
まっすぐな言葉が沁みて、鼻の奥がツンとした。風邪で心が弱っているせいか、目頭が熱くなるのをうまく抑えられない。
汐月くんはそういう人だ。気を遣ってくれてはいるだろうけれど、それ以前に優しさが自然と心に根付いていて、相手をよく見ている。だからきっと、私の不安を見抜いてお見舞いに来る選択を作ってくれた。私の来てほしかったという思いを否定しなかった。
風邪の影響で心が揺れていたとはいえ、次の約束がなかったらどうしようだなんて一瞬でも思った自分が恥ずかしくなった。
「ありがとう……」
「何言ってるんだ。友だちだろ」
汐月くんがさらっと当然のように言って微笑む。その瞬間、なぜかちくりと胸が痛んだ。
友だち。
その通りだ。私もたった今、汐月くんに対してそう思った。
友人が弱っている時は相手が望むなら支えになりたいし、それが友情なのだと理解できる。再会した当初は少しぎこちなかったことやもう二度と会えないかもしれないと思っていたことを考えると、再び相互的に友人だと思えている今は間違いなく恵まれている状況だ。
それなのに、どうして汐月くんに対してだけ、友人という名前に対して物足りないような気持ちを抱いてしまうのだろう。