選べなかった恋の続きを、君と紡いで
「おっ、汐月さん!」
その時、溌剌とした声とともに少し大柄の男性がにこにこと近づいて来る。汐月くんが表情を引き締めて軽く会釈をした。
「佐々木店長、お世話になっております」
「こちらこそ! 今日はプライベートですか?」
「はい、買い物に」
店長さんだったのか。下げた頭を上げると、佐々木店長が笑みを深めた。
「もしかして……」
汐月くんが私をちらっと見る。
「彼女は私の大事な友人です」
「ああ、ご友人だったんですね」
佐々木店長がにこやかに微笑む。
大事な友人。
紹介してくれた言葉を胸の中で反芻する。ただの友人でもよかったはずなのに、わざわざ〝大事〟とつけてくれたことに密かに浮かれてしまった。
ささいなことで舞い上がっていると、汐月くんがこそっと耳打ちしてくる。
「七瀬さんの仕事のこと、言っても大丈夫?」
「あ、うん」
とは答えたものの、そこまで世間に名が通っているわけではないので妙に緊張してしまう。
「佐々木店長。こちら私の友人で、作家の七瀬一花先生です」
「七瀬……えええ! 七瀬先生ですか!?」
「知ってくださっているんですか? 嬉しい……!」
「もちろんですよ。デビュー作拝読してます。こちらのアンソロジーもとても瑞々しく爽やかな読み味で。大好きです」
「ありがとうございます」
興奮気味で感想を語ってくれる佐々木店長に、胸が熱くなった。