選べなかった恋の続きを、君と紡いで
「汐月くん……?」
なんとか名前を呼ぶと、指先がゆっくりと肩のあたりに触れた。
びくっとなりそうなところをなんとか耐えていると、腕が遠ざかっていく。汐月くんの長い指先に挟まれているのは落ち葉だった。
「急にごめん。ついてたから」
「! あ……ありがとう」
なるほど、とってくれただけだったんだ……! 意識しまくってしまって恥ずかしい。取り繕うように髪を耳にかけながら、落ち葉に視線を向けた。
「綺麗な赤色だね」
「うん、鮮やかだ。紅葉っていろんな色があるよな」
手元の葉から顔を上げて、汐月くんが頭上の木を仰ぐ。赤を基調としたこの落葉樹は、緑が生い茂る森の中でひときわ映えている。以前、物語を作った時に調べた話が脳裏をよぎった。
「なんか含まれてる色素の関係で色が変わるって聞いたことがある気がする」
「へえ。いろんな変化があるんだな」
絵の具で描かれたような秋の色。汐月くんのどこか遠くに想いを馳せるような、晴れやかな顔の傍を、ひらりとまた一枚落ち葉が舞い落ちていった。
汐月くんは今、何を考えているのだろう。
知りたいと思った。もっともっと汐月くんの心に近づきたい。ここ最近一緒にいる時に密かに抱いていた願いが膨らんでいく。
この旅行でますます汐月くんを知って、思い出して、また好きになっている。どんどん心惹かれているのがわかる。友だちとして、じゃもう足りない気がする。
自然と先へ進みたいと思った。
告白。
その二文字が脳内に浮かぶ。いつか恋心を自覚した日のように。
「少し休憩しようか」
「あ、うん」
汐月くんが気遣うように声をかけてくれたので、私も隣に並んで歩き出す。けれど一度意識した告白という単語がずっと脳内で踊り続けていた。