選べなかった恋の続きを、君と紡いで
『明けましておめでとう。今年も一緒に美味しいもの食べよう』
表示されたメッセージに息を呑む。それは汐月くんからのメッセージだった。
「汐月くんから?」
顔を上げると、莉乃がニヤリとしていた。
「うん……あ~~~……会いたい」
「ようやく素直になったか。それ、そのまま汐月くんに送りな」
「えっ!? いやいや、お正月だよ!?」
「善は急げ。夜に約束とりつけなさい」
ほら、と莉乃に促されてもう一度画面をじっくりと見た。連絡自体も嬉しい。今年も、と未来の話をしてくれていることも飛び上がりそうなほど嬉しい。
もう一度莉乃を見ると、深く頷かれる。覚悟を決めて唾を飲み込んだ。
一度『会いたい』と入力したものの、さすがに急すぎるか……と消した。どんな言い回しが正しいのか。伝わるのか。伝わりすぎないのか……。
「『あけましておめでとう。こちらこそ今年もよろしくね。さっそくなんだけど今夜とか空いてないかな?』……とかどうですか」
「『会いたい』を入れな」
「う……『会えたら嬉しいんだけどどうかな』……」
「よし」
腕を組んだ莉乃は、まるで指示を出した後の運動部の監督みたいに大きく頷いた。一旦膝の上にスマートフォンを置きお喋りに戻っていると、画面が再び光った。
「返事見てもいい?」
「当たり前でしょ。なんて?」
莉乃が軽く身を乗り出してくる。ロック画面に表示された通知には、『ごめん、今京都の祖母の家にいるんだ。来週以降でもいいかな?』と記されていた。
「帰省中か」
「入れ違い~……」
「一花、明日から帰省するんだっけ?」
「そうなの」
拒否されているわけではないと安堵したけれど、勇気を振り絞ったので肩を落としてしまった。とはいえ、事情を考えると仕方ない。
「ありがとうね、話聞いてくれて。一人だったらもっと無難な返事になってた気がする」
「ぜんぜん。ていうか来週以降って提案してくれてるんだから、やっぱ脈ナシじゃないと思うんだけどな~」
今日はハーフアップにアレンジしている髪を鎖骨から背中側に流しながら、莉乃がホットコーヒーのカップを手にとる。
期待がまったく。微塵もないわけではない。でもクリスマスの夜を思い出すとどうしても自分の心に制限をかけてしまう。でも、もらったメッセージに浮かれてもいる。
心の天秤が行ったり来たり。一喜一憂する自分に内心苦笑しながら、コーヒーを口に運んだ。