トワイライト〜ふたりで奏でる最高の歌〜
夜海 side
朝ちゃんから初めて聞いた、朝ちゃん自身の話に涙が止まらなくなる。
「……話してくれて、ありがとうっ」
「フフッ、なんでよるが泣くのよ〜私までまた泣いちゃうからやめてよね」
朝ちゃんは潤んだ瞳のまま、私の頬に伝う涙を優しく拭う。
朝ちゃんの無邪気な笑顔の裏には、傷ついた朝ちゃんがいたんだ。
そりゃ、私があんなふうに言ったの、辛かったはずだよね。
「ほんとにごめんね、朝ちゃん」
「だからー!もーいいのー!よるには感謝しかない。昨日、よるが投稿してくれた曲で、私はもう全部吹っ切れてる!」
朝ちゃんはそう言って再び私をギュッと抱きしめる。
「うん、ありがとうっ」
「それにしてもすごいよね。まさか同時に曲を投稿するなんて」
「ほんとだね。朝ちゃんの作詞作曲なんて貴重すぎて。それに、ピアノも弾けたなんて!」
朝ちゃんのまた新しい一面を知ることができて嬉しい。
「へへ、実はお母さんがピアノしてたから、小さい頃よく一緒に弾いてて。作詞作曲は、最初で最後だから!」
「えっ、どうして!?」
「よるみたいにうまくないし、あれも本当は非公開にしたいぐらい恥ずかしいんだからっ。3日かかっちゃったし」
「え!非公開なんてダメ!すごく素敵なんだから!」
「ん。よるに褒められたら十分。ありがとう。よるのほうこそ、私にお熱いラブレターありがとうね。よるが私のことを大好きで、トワイライトが大好きってこともすんごく伝わった」
ちょっと冷やかすように朝ちゃんがそう言うから、みるみるうちに私の耳も熱くなる。
「フフッ、顔真っ赤」
「もう!朝ちゃんいじわるっ!」
ラブレターは深夜に書かないほうがいいと聞いたことがあるけれど、私が朝ちゃんに届けた曲はまさにそれを表していると思う。
でも、そんな深夜のテンションが、嘘偽り無い本心なのも事実だ。
「ねぇ、よる。今から歌おうよ」
「え?」
「よるのラブレター」
「……深夜テンションラブレターを朝に歌わせるなんて、やっぱり朝ちゃんいじわる!」
「好きな子のことはいじめたくなるもんなの」
「っ、もう!」
「あ、怒った?歌わない?」
「……歌いたい、朝ちゃんと」
朝ちゃんが、満足そうに笑い、私は背負っていたギターを取り出す。
窓の外では、朝日が少しずつ強くなっていた。
静かな旧校舎。
誰もいない放送室。
ぽろろんとギターを鳴らし、私たちふたりの声が重なった。