乳吸鬼♀&未来偵察メイド:悪魔と共に在る世界 ※(関連作の目次リンクあり)
ラルティは目を白黒させていたが、すぐに跳ね上がるように立ち直って身構える。
「ちっ、人間の魔術使いか! 油断したもんだな、喰わせもんのアバズレめっ!」
背筋が凍るようになる。怖い。今やクラフトマンだけでなく、レトラも攻撃対象なのだった。ラルティはほんの一瞬だけ考えて、こちらに向かってくるそぶりをみせる。
だが電光が閃く。クラフトマンだった。手で押さえた胸の服が血で染まっている。どうやら刺されていたらしく、口から咽せるように血を吐いていたが、それでも起き上がる。やはり体力や頑健さは人間の比ではないし、魔術で治癒もできるのだろうか。
「小僧! やってくれたな!」
クラフトマンの手から光弾が放たれる。
ラルティはそれをひらりとかわして、いつの間にかレトラの背後に回る。後ろ襟をつかんで盾にし、直後にクラフトマンの方に突き飛ばす(つまり障害物を置いたのだろう)。ラルティはさっと踵を返す。そのまま夜の町の闇の中へと素早く走り去っていった。
(2)
「あら? ラルティ、どうしたの?」
「どうもこうも! 急ぐ!」
走り去るラルティは、すれ違いざまにこちらにやってくる少女とそんな言葉を交わしたようだった。
現れた少女はそのまますたすたとこちらにやって来た。物珍しそうで、少しばかり気遣わしげでもある表情で、クラフトマンを見た。
(うわぁ! 綺麗な子!)
レトラは間近で見るなり、つい見蕩れて注視してジロジロと彼女に目線をさまよわせた。まるで美術品の高級な人形のようだった。同性であっても美しさを感じるし、女性だったら誰もが「こんな綺麗な容姿だったら」と憧れるだろう。
ほとんど白のようなブロンドの髪に、黒いゴシックロリータのようなエプロンドレス。白いレースがアクセントの飾りのようで、しかも銀らしきネックレスをしている。魔族は銀にアレルギーがあることが多く(ゆえに達人ならば銀の武器があれば魔族を殺せるとされる)、それは人肉食の習性と文化でより悪化するのだそうだが、どうやらこの少女にとってはあまり関係ないらしい。
「お義父様、ラルティと喧嘩?」
「知っているのか? あいつを?」
「あいつって有名な遍歴の剣闘士。魔族やモンスターと戦って、もうじき三十勝。ためしに一回「吸って」やったら、砂糖抜きのコーヒー牛乳っぽかった。あちこち触られたのが代金替わり」
クラフトマンはため息した。
「お前は「女の子だけ」じゃなかったのか?」
「そうよ。男のおっぱいなんて、まずいから。なによ、私がお母様みたいに人間の男どもを侍らせたりつまみ食いするとでも? お義父様だって、年甲斐もなく人間の女なんて連れて」
ジロッと、彼女はレトラを見た。
「お母様が最近は冷たいわけ?」
「家事のメイドに雇った。それと、お前に授乳に」
「ふうん?」
小首を傾げて上目遣いに睨む少女。少しばかり不機嫌そうだったが、それでも綺麗で心奪われるほどに可愛らしい。
「レトラって言います」
「私はルントゥ。こちらのお義父様は「名付け親」で後見人なの。古代語からとった名前で、お母様の研究の先生と愛人で、私の家庭教師で育て親。だから「お義父様」とか「パパ」って呼んでる。お母様は変人と悪趣味のせいで私が生まれて、悪影響されないようにってよく預かって貰ってて、私はすっかり養子になってる」
どうやら複雑な家庭事情があるらしい。
それがルントゥとレトラの出会いだった。
「ちっ、人間の魔術使いか! 油断したもんだな、喰わせもんのアバズレめっ!」
背筋が凍るようになる。怖い。今やクラフトマンだけでなく、レトラも攻撃対象なのだった。ラルティはほんの一瞬だけ考えて、こちらに向かってくるそぶりをみせる。
だが電光が閃く。クラフトマンだった。手で押さえた胸の服が血で染まっている。どうやら刺されていたらしく、口から咽せるように血を吐いていたが、それでも起き上がる。やはり体力や頑健さは人間の比ではないし、魔術で治癒もできるのだろうか。
「小僧! やってくれたな!」
クラフトマンの手から光弾が放たれる。
ラルティはそれをひらりとかわして、いつの間にかレトラの背後に回る。後ろ襟をつかんで盾にし、直後にクラフトマンの方に突き飛ばす(つまり障害物を置いたのだろう)。ラルティはさっと踵を返す。そのまま夜の町の闇の中へと素早く走り去っていった。
(2)
「あら? ラルティ、どうしたの?」
「どうもこうも! 急ぐ!」
走り去るラルティは、すれ違いざまにこちらにやってくる少女とそんな言葉を交わしたようだった。
現れた少女はそのまますたすたとこちらにやって来た。物珍しそうで、少しばかり気遣わしげでもある表情で、クラフトマンを見た。
(うわぁ! 綺麗な子!)
レトラは間近で見るなり、つい見蕩れて注視してジロジロと彼女に目線をさまよわせた。まるで美術品の高級な人形のようだった。同性であっても美しさを感じるし、女性だったら誰もが「こんな綺麗な容姿だったら」と憧れるだろう。
ほとんど白のようなブロンドの髪に、黒いゴシックロリータのようなエプロンドレス。白いレースがアクセントの飾りのようで、しかも銀らしきネックレスをしている。魔族は銀にアレルギーがあることが多く(ゆえに達人ならば銀の武器があれば魔族を殺せるとされる)、それは人肉食の習性と文化でより悪化するのだそうだが、どうやらこの少女にとってはあまり関係ないらしい。
「お義父様、ラルティと喧嘩?」
「知っているのか? あいつを?」
「あいつって有名な遍歴の剣闘士。魔族やモンスターと戦って、もうじき三十勝。ためしに一回「吸って」やったら、砂糖抜きのコーヒー牛乳っぽかった。あちこち触られたのが代金替わり」
クラフトマンはため息した。
「お前は「女の子だけ」じゃなかったのか?」
「そうよ。男のおっぱいなんて、まずいから。なによ、私がお母様みたいに人間の男どもを侍らせたりつまみ食いするとでも? お義父様だって、年甲斐もなく人間の女なんて連れて」
ジロッと、彼女はレトラを見た。
「お母様が最近は冷たいわけ?」
「家事のメイドに雇った。それと、お前に授乳に」
「ふうん?」
小首を傾げて上目遣いに睨む少女。少しばかり不機嫌そうだったが、それでも綺麗で心奪われるほどに可愛らしい。
「レトラって言います」
「私はルントゥ。こちらのお義父様は「名付け親」で後見人なの。古代語からとった名前で、お母様の研究の先生と愛人で、私の家庭教師で育て親。だから「お義父様」とか「パパ」って呼んでる。お母様は変人と悪趣味のせいで私が生まれて、悪影響されないようにってよく預かって貰ってて、私はすっかり養子になってる」
どうやら複雑な家庭事情があるらしい。
それがルントゥとレトラの出会いだった。