乳吸鬼♀&未来偵察メイド:悪魔と共に在る世界 ※(関連作の目次リンクあり)
(3)
「へえ? 私の目がねえ?」
ルントゥはカップからココアを飲み干して、ちょっと考えこむ様子。
「さもありなんだわ。お母様だったら、やりかねないもの」
「わざと狙ったってことですか?」
「わざと特別な人間の種を探して選んでくるのだとか、得意の研究分野だし。血統学だの生命魔術だのが専門で、私は「ホムンクルスの娘」だとかなんとか、わけわからん自己満足してた。私は私に決まってるってのに、あの変人の母親は」
朝食はココアやコーヒーとパンに、サラダ。この家での食事は人間とあんまり変わらないのは安心させられる。養父のクラフトマンはコーヒーを特製のワインで割って飲んでいるのだけれど、それくらいだったら微笑ましい。初仕事のレトラは魔法の冷蔵箱から食材をとりだして、「魔法が使える魔族やエルフはいいな」と思った。
昨晩の授乳と共寝のせいなのか、すっかり打ち解けてしまっているのが不思議でもある。不快でないのは、やっぱりルントゥのことが気に入ってしまったからだろう。
「それじゃ、行ってくるわ!」
朝食を終えると、ルントゥはこのこぢんまりした屋敷からご出勤であった。
ここは魔族の内城区画に隣接する居住区で、エルフやドワーフの上流階級などが混住する地域である。特徴的なのは、周囲の村や町の普通の人間が出入りしていることで、悪辣な人間エリート階級と下層魔族の街区とはカラーが違う。
ルントゥのお仕事とは、なんと実は獣医であるらしい。畜産農場に週に四五日くらい出ていて、たまに村の家畜のことでも往診に出かけるのだそうだった(簡易な人間の初等医師も兼ねているのだそうで)。そのうちにレトラにも手伝わせる腹づもりであるらしかった。
「こんなでも魔族の戸籍だから、恩給のベーシックインカムはあるんだけどさ。そんなに高い家柄じゃないし、ちっこい領地の村の田畑から収入はあってもあんまり無茶な取り立てすると崩壊するし。生きてるだけで何にもしないと、そこいらのアホ魔族みたいに脳みそが腐っちゃうわ」
それがルントゥの言い分。魔族の令嬢としてはまっとう過ぎるくらいだった。人間の村人やエルフなどとの方が仲が良いらしい。彼女は人間の血が半分なので、魔族の性悪から狙われている面もあって面倒らしかった。
「今日はダチョウ。あいつら、飼育員に懐きすぎて、私とかに求愛ダンスしてはしゃぎまくり」
「へええ?」
「危うく犯されそうになったわ」
「うわあ」
「大丈夫よ、こっちが食ってやるから。ステーキや煮込みにすると旨い」
「まあ!」
いつだって上には上がいると、そして下克上したり相食む生存闘争の修羅の巷なのだと、自然界の摂理に苦笑しつつ納得してしまうレトラ。
屋敷から二百メートル先の乗合馬車から、道を戻っていくレトラを追い越して、ルントゥが手を振ってくる。まるで人間のちょっと育ちがいいだけの娘のような屈託のない表情で。
「お土産はダチョウの卵だわ! 三日くらいはガッツリ卵祭りなんだから!」
ルントゥはダチョウを飼育や世話して、その卵をレトラが食べて、レトラの母乳をルントゥが飲むことになる。摩訶不思議な食物連鎖のサイクルではある。
レトラとしては狐につままれるようだった。
「へえ? 私の目がねえ?」
ルントゥはカップからココアを飲み干して、ちょっと考えこむ様子。
「さもありなんだわ。お母様だったら、やりかねないもの」
「わざと狙ったってことですか?」
「わざと特別な人間の種を探して選んでくるのだとか、得意の研究分野だし。血統学だの生命魔術だのが専門で、私は「ホムンクルスの娘」だとかなんとか、わけわからん自己満足してた。私は私に決まってるってのに、あの変人の母親は」
朝食はココアやコーヒーとパンに、サラダ。この家での食事は人間とあんまり変わらないのは安心させられる。養父のクラフトマンはコーヒーを特製のワインで割って飲んでいるのだけれど、それくらいだったら微笑ましい。初仕事のレトラは魔法の冷蔵箱から食材をとりだして、「魔法が使える魔族やエルフはいいな」と思った。
昨晩の授乳と共寝のせいなのか、すっかり打ち解けてしまっているのが不思議でもある。不快でないのは、やっぱりルントゥのことが気に入ってしまったからだろう。
「それじゃ、行ってくるわ!」
朝食を終えると、ルントゥはこのこぢんまりした屋敷からご出勤であった。
ここは魔族の内城区画に隣接する居住区で、エルフやドワーフの上流階級などが混住する地域である。特徴的なのは、周囲の村や町の普通の人間が出入りしていることで、悪辣な人間エリート階級と下層魔族の街区とはカラーが違う。
ルントゥのお仕事とは、なんと実は獣医であるらしい。畜産農場に週に四五日くらい出ていて、たまに村の家畜のことでも往診に出かけるのだそうだった(簡易な人間の初等医師も兼ねているのだそうで)。そのうちにレトラにも手伝わせる腹づもりであるらしかった。
「こんなでも魔族の戸籍だから、恩給のベーシックインカムはあるんだけどさ。そんなに高い家柄じゃないし、ちっこい領地の村の田畑から収入はあってもあんまり無茶な取り立てすると崩壊するし。生きてるだけで何にもしないと、そこいらのアホ魔族みたいに脳みそが腐っちゃうわ」
それがルントゥの言い分。魔族の令嬢としてはまっとう過ぎるくらいだった。人間の村人やエルフなどとの方が仲が良いらしい。彼女は人間の血が半分なので、魔族の性悪から狙われている面もあって面倒らしかった。
「今日はダチョウ。あいつら、飼育員に懐きすぎて、私とかに求愛ダンスしてはしゃぎまくり」
「へええ?」
「危うく犯されそうになったわ」
「うわあ」
「大丈夫よ、こっちが食ってやるから。ステーキや煮込みにすると旨い」
「まあ!」
いつだって上には上がいると、そして下克上したり相食む生存闘争の修羅の巷なのだと、自然界の摂理に苦笑しつつ納得してしまうレトラ。
屋敷から二百メートル先の乗合馬車から、道を戻っていくレトラを追い越して、ルントゥが手を振ってくる。まるで人間のちょっと育ちがいいだけの娘のような屈託のない表情で。
「お土産はダチョウの卵だわ! 三日くらいはガッツリ卵祭りなんだから!」
ルントゥはダチョウを飼育や世話して、その卵をレトラが食べて、レトラの母乳をルントゥが飲むことになる。摩訶不思議な食物連鎖のサイクルではある。
レトラとしては狐につままれるようだった。