乳吸鬼♀&未来偵察メイド:悪魔と共に在る世界 ※(関連作の目次リンクあり)
(3)
ラルティたち剣闘士義賊団が有力者の邸宅に押し入って目の当たりにした光景とは。
「なんだよ、これ?」
「先に暴れてた?」
どうやら宴会の最中だったらしいのだが、主賓らしき魔族がめった刺しにされて死んでいる。下僕の人間たちも負傷したり死んでいる。
あの奴隷に売られた娘が踊り子の格好でへたり込んでいた。
「あの、目が光っている人たちがやってきて、具合が悪かった魔族の旦那様をみんなでよってたかったて。それでグチャグチャに暴れて。人間なのに人間の力じゃないみたいだった」
しどろもどろの説明だったが、彼女も成り行きと起きた出来事が十分に理解できていないようだった。
そのころ、「呪いの霧」で覚醒した資質ある者たちが(血筋や遺伝に仕込まれていた?)、スイッチが入ったように夜の町で魔族への殺戮を実行していた。それに乗り合わせる格好で、普通の人間も暴れ出して、常日頃に横暴していたエリート階級を襲ったり殺し始める。
狂乱の一夜が始まろうとしていた。
(4)
授乳を終えて早々に寝についたレトラは、すっかり愛しくなったルントゥのまどろみゆく寝顔を横目にしながら、突然にある考えに支配される。
それは「魔族を殺せ」という絶対命令。
急に全身に摩訶不思議な力がみなぎってきて、やたらと目が冴えるような、それでいて半分が寝ぼけているかのような奇妙な精神状態になってくる。催眠術にでもかけられているかのようだったが、その強制力は自分自身の内奥から沸き上がってきて、頭の中と全身を満たしてくる。
魔族を殺せ。
そうだ、魔族を殺さなくっちゃ!
できるかできないかは問題でなかったし、あながち無理でもない気がしてきた。胸の奥で、あの魔法の針が熱を帯びて疼くようだ。
魔族を殺せ。
だから、すぐ横に眠っているルントゥの首に片手をかける。
(違う、ルントゥは魔族じゃない)
殺意は急速に消えたが、それはルントゥに対してだけで、「魔族を殺せ」という心の声はずっとリフレインしている。
「レトラ。魔族を殺そう」
いきなり目を開けたルントゥは開口一番にそう告げるのだった。その瞳は怪しげに光っている。
「そうね。一緒に行こう!」
同じような呪いの光がレトラの目にも灯っている。彼らは先天的な同類や同志だったのだ。
二人の娘は刃物や鈍器を持って、連れだって夜の町に彷徨い出る。これから二人で魔族を殺すトライアルするのだから、夏祭りの日の少女のようウキウキしている。既に辺りには即席で「悪魔に覚醒」した同類さんたちや、騒動に便乗して日頃の恨みで暴れ出した人々が喧噪を高めている。
(ひょっとして、ルントゥのお母さんって、こういう事態を予想して、わざとルントゥを人間の男で妊娠したのかな?)
もしも知っていたり知識があって予期していたのならば、自分の娘が犠牲者にならないように、わざとそういう選択するのはあり得る。ルントゥが「因子」を持っていることや、人肉食を好まない習性の理由も、それで説明がつく。よい意味で「親の顔が見てみたい」と思った。
レトラの思考はそこで途切れた。
記憶がぶっ飛んだようで曖昧になっている。
あとで漠然と覚えているのは「ルントゥとはしゃぎ回って楽しかった」という、漠然とした自己認識だけだった。気がついたときには、居間で血と泥に汚れきった服を脱ぎ捨てて(靴も転がっていた)、二人で抱き合うようにして眠っていた。
クラフトマンによれば「危うく君らに殺されるところだった」そうだが、暴走していても途中で襲撃を止めはしたらしいから、最後の分別は働いたのだろうか。他に知人の目撃者たちから「あれってお前ら? ヤバかったぞ」などと言われて困った。
ラルティたち剣闘士義賊団が有力者の邸宅に押し入って目の当たりにした光景とは。
「なんだよ、これ?」
「先に暴れてた?」
どうやら宴会の最中だったらしいのだが、主賓らしき魔族がめった刺しにされて死んでいる。下僕の人間たちも負傷したり死んでいる。
あの奴隷に売られた娘が踊り子の格好でへたり込んでいた。
「あの、目が光っている人たちがやってきて、具合が悪かった魔族の旦那様をみんなでよってたかったて。それでグチャグチャに暴れて。人間なのに人間の力じゃないみたいだった」
しどろもどろの説明だったが、彼女も成り行きと起きた出来事が十分に理解できていないようだった。
そのころ、「呪いの霧」で覚醒した資質ある者たちが(血筋や遺伝に仕込まれていた?)、スイッチが入ったように夜の町で魔族への殺戮を実行していた。それに乗り合わせる格好で、普通の人間も暴れ出して、常日頃に横暴していたエリート階級を襲ったり殺し始める。
狂乱の一夜が始まろうとしていた。
(4)
授乳を終えて早々に寝についたレトラは、すっかり愛しくなったルントゥのまどろみゆく寝顔を横目にしながら、突然にある考えに支配される。
それは「魔族を殺せ」という絶対命令。
急に全身に摩訶不思議な力がみなぎってきて、やたらと目が冴えるような、それでいて半分が寝ぼけているかのような奇妙な精神状態になってくる。催眠術にでもかけられているかのようだったが、その強制力は自分自身の内奥から沸き上がってきて、頭の中と全身を満たしてくる。
魔族を殺せ。
そうだ、魔族を殺さなくっちゃ!
できるかできないかは問題でなかったし、あながち無理でもない気がしてきた。胸の奥で、あの魔法の針が熱を帯びて疼くようだ。
魔族を殺せ。
だから、すぐ横に眠っているルントゥの首に片手をかける。
(違う、ルントゥは魔族じゃない)
殺意は急速に消えたが、それはルントゥに対してだけで、「魔族を殺せ」という心の声はずっとリフレインしている。
「レトラ。魔族を殺そう」
いきなり目を開けたルントゥは開口一番にそう告げるのだった。その瞳は怪しげに光っている。
「そうね。一緒に行こう!」
同じような呪いの光がレトラの目にも灯っている。彼らは先天的な同類や同志だったのだ。
二人の娘は刃物や鈍器を持って、連れだって夜の町に彷徨い出る。これから二人で魔族を殺すトライアルするのだから、夏祭りの日の少女のようウキウキしている。既に辺りには即席で「悪魔に覚醒」した同類さんたちや、騒動に便乗して日頃の恨みで暴れ出した人々が喧噪を高めている。
(ひょっとして、ルントゥのお母さんって、こういう事態を予想して、わざとルントゥを人間の男で妊娠したのかな?)
もしも知っていたり知識があって予期していたのならば、自分の娘が犠牲者にならないように、わざとそういう選択するのはあり得る。ルントゥが「因子」を持っていることや、人肉食を好まない習性の理由も、それで説明がつく。よい意味で「親の顔が見てみたい」と思った。
レトラの思考はそこで途切れた。
記憶がぶっ飛んだようで曖昧になっている。
あとで漠然と覚えているのは「ルントゥとはしゃぎ回って楽しかった」という、漠然とした自己認識だけだった。気がついたときには、居間で血と泥に汚れきった服を脱ぎ捨てて(靴も転がっていた)、二人で抱き合うようにして眠っていた。
クラフトマンによれば「危うく君らに殺されるところだった」そうだが、暴走していても途中で襲撃を止めはしたらしいから、最後の分別は働いたのだろうか。他に知人の目撃者たちから「あれってお前ら? ヤバかったぞ」などと言われて困った。