甘い痛みは秘密の夜に〜マスクを外した天才パティシエは、独占欲の塊でした〜
「はわわ……」
「あのオムレットは雛子ちゃんのために作ったんだ。食べてほしい」
「たた、食べなくてもわかる! うん! 絶対美味しい!」
「食べてから言ってくれる?」

 そう言い、グイッと引き寄せられる体。

「か、勘違いって何ですか!?」
「え? 俺のこと好きなのかなって」
「すす、好きじゃないし! 好きなのは……っ!」
「あーケーキ?」

 はいはい、とまるで言われ慣れた言葉のように聞き流そうとするので雛子はムッときて言い返す。

「ケーキもだけど八重歯!」
「……なに?」
「だから八重……」

 真っ直ぐ見つめられて、その瞳を見つめ返す雛子は自分が何を言ったかそこで初めて理解した。

「違う! 今の忘れて! 忘れてください!」
「……八重歯? これ?」

 そう言って「あ」と口を開けるその無防備な顔が破壊的な可愛さを放った。

「きゃー! やめて!」

 真っ赤になる雛子を見る秋葉は、その開いた口が塞がらずにいる。今まで女の子にちやほやされてきたことは多いが、八重歯に反応する子ははじめてだったのか、目を丸くしている秋葉だが――。
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