甘い痛みは秘密の夜に〜マスクを外した天才パティシエは、独占欲の塊でした〜
ショーケースに並ぶのは、数種類の煌びやかなケーキ。雛子の視線は店内からショーケースの中へと引き寄せられる。
職人のこだわりを主張するように並べられている数種類のケーキ。そのショーケースの中でひと際美しく層を成していたミルクレープに雛子の視線は奪われた。雛子は甘いものにも目がないが、生クリームが一番好きだ。何層にもクリームが重ねられるミルクレープは好きなケーキランキングでベストスリーには入るほど。購入するケーキはすぐに決まった。
「お決まりですか?」
タイミングの良い声掛けに、ショーケースから視線を上げる。注文しようと口を開いたが、声は喉奥で詰まった。
「は……」
言葉を失くした人間のように、声がうまく発せられない。穏やかで優しい声。白いシャツに黒のエプロンを腰に巻き、マスクで顔の下半分を隠したパティシエが顔を覗かせた。他にスタッフは見当たらない。彼がこの店の主だろうか。
マスクのせいで、その素顔まではハッキリとわからない。けれど、弧を描く涼しげな目元だけで、胸を跳ねさせてしまうほどなのだから、端正で甘い素顔が想像できた。
職人のこだわりを主張するように並べられている数種類のケーキ。そのショーケースの中でひと際美しく層を成していたミルクレープに雛子の視線は奪われた。雛子は甘いものにも目がないが、生クリームが一番好きだ。何層にもクリームが重ねられるミルクレープは好きなケーキランキングでベストスリーには入るほど。購入するケーキはすぐに決まった。
「お決まりですか?」
タイミングの良い声掛けに、ショーケースから視線を上げる。注文しようと口を開いたが、声は喉奥で詰まった。
「は……」
言葉を失くした人間のように、声がうまく発せられない。穏やかで優しい声。白いシャツに黒のエプロンを腰に巻き、マスクで顔の下半分を隠したパティシエが顔を覗かせた。他にスタッフは見当たらない。彼がこの店の主だろうか。
マスクのせいで、その素顔まではハッキリとわからない。けれど、弧を描く涼しげな目元だけで、胸を跳ねさせてしまうほどなのだから、端正で甘い素顔が想像できた。