好きになった人は、みんなのアイドルで 4

4話 可愛い

ーー悠太郎サイド

「……今日は、俺がご馳走するから、ちょっと奮発」
大学生が行くには少し背伸びの洋食屋。
母さんが紬と美味しいもの食べて来いってお小遣いもくれたけど、
俺は自分のバイト代から出すつもりだった。
神戸まで来てくれたから、俺が払いたかった。

「大丈夫、お小遣いもらったから」
ふふーっと笑う紬が可愛い。
……どこの親も同じなんだな。

「いや、ここは払わせて」
「神戸まで来てくれたから、まじで、ありがとう」
今回もそうだけど、こないだのことも。
これくらいしかできないけど、紬にお礼がしたかった。

「分かった、高いの食べちゃお」
悪戯っぽく笑うこの子のことが、本当に好きだと思った。

ーー
「ねえ、オムライス、神戸牛のビーフシチューかかってる」
「これがいい」
メニューを見て楽しそうな紬が、まじで可愛い。
可愛いしか出てこない。俺の語彙力、死んでる。

注文をして、料理が運ばれてくるのを待つ間、紬はまだメニューを眺めている。
「私、メニュー見るの好きなんだよね。楽しい」

じっくり一つ一つ説明を読んでいる。
ほんとに可愛い。天使。
こんなに可愛い子が俺の彼女でいいのか、未だに時々不安になる。

「紬、神戸来てくれて、ありがとね」

「ううん、ごめんね。また押しかけるみたいに来て」

「いや、俺ほんと、紬いないとダメだわ」
「必死に予定詰め込んで、それで安心しようとしてた」

「……うん、知ってるよ」
「ちょっと心配だったの」
「でもね、そんなとこも好き」

紬は絶対に俺を責めない。
肯定して、受け止めてくれる。

俺のことをこんなに分かってくれて、
丸ごと好きでいてくれる彼女がいるなんて、
本当に俺は幸せだ。

料理が運ばれてくる。

「わーい!」と小さく呟いて写真を撮る紬が急に子供みたい。
さっきまでさ、あんな大人みたいだったのに。

……まじで、ずっと紬と一緒にいたい。
くるくる表情が変わる紬を見ていて、心の底からそう思った。

一口オムライスを食べた紬が
「美味しすぎる!悠太郎くんも早く食べて」
って急かすから、可愛くて笑った。
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