45歳派遣OL、年下上司に囲われて溺愛されました
ふわりと、彼のスーツから清潔な石鹸と微かな香水の匂いがして、呼吸が止まりそうになる。

「そういう時は、俺を頼って下さいよ」

耳元で響くその声は、上司としての命令でも、同情でもなかった。

もっと深く、もっと男らしい、独占的な響きを含んでいた。

心臓が激しく脈打つ。

私は呆然としたまま、タクシーを止める彼の背中に身を預けていた。

タクシーに押し込まれ、彼が隣に座る。

閉鎖された空間の中で、彼の肩が私の肩に触れる。

「家の場所は?」

「あ……まっすぐです。〇〇通りを抜けて……」

声が裏返るのを必死に抑える。

タクシーは街の灯りを縫うように走り、やがて私の古びたアパートの前で止まった。

わざわざ家の前まで送らせてしまった。

「あの、お金は後で返しますので……」

「いいから。そんな事、気にしないで」

彼はタクシーから降りず、ドア越しに私を見つめた。

「じゃあ、また来週」そう言って、彼はドアを閉める。

私は暗闇の中で、タクシーが遠ざかっていく赤いテールランプを呆然と見守るしかなかった。

今夜、彼に見せた私の無防備な姿と、彼が私を抱き寄せた時の熱。

あれは、ただの「上司の配慮」だったのだろうか。それとも――。

私の鼓動は、深夜の静寂の中で、まだ止まりそうになかった。
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