配信終了後、幼馴染実況者の本性が悪すぎる
次の日の夕方。学校が終わって一度家に帰った後、凪の家に向かった。凪の家は私の家から歩いて数分。
お庭には様々な種類のお花が植えられたプランターが並び、青々とした木々が風で揺れている。おばあちゃんの趣味らしい。
建物は少し古いけれど、どこか趣を感じさせる佇まいだった。
インターホンを押すと、カラカラと音をたてながら引き戸が開き、制服姿の凪が出てきた。
いつも通りの無愛想な表情。
「入れよ」
「お邪魔しまーす!」
扉をくぐると、玄関まで届くお出汁の良い香りがふわりと鼻先をくすぐった。
わっ、最高。この匂いだけで、もう優勝。
「あらあら、楓花ちゃん、いらっしゃい」
部屋に入ると、
台所から凪のおばあちゃんが優しい笑顔で迎えてくれる。
「お邪魔します!今日は誘ってくれてありがとうございます!おばあちゃんのご飯、昨日から楽しみにしてました」
「あらぁ、そうなの?そう言ってもらえると嬉しいわぁ。」
「あっ、何か手伝いますか?」
「ありがとう。でも、後少しで完成するからいいわよ。ゆっくりしててね」
「はーい」
柔らかな雰囲気に心が解ける。
「楓花、こっち」
「うん!」
そのまま、いつものように凪の部屋に向かった。
凪の部屋は、いたってシンプルだ。
余計なものがない分、デスクの上にあるゲーミングPCがやけに目立つ。
配信を始めた当初は、機器を揃えるお金がなくて、スマホゲーム実況ばかりしていたのが懐かしい。
部屋に入るなり、凪が床に置かれた段ボールを指差す。
「グッズの試作品、届いた」
「えっ!本当に!?」
パッと弾んだ声が出た。
「昨日届いたばっか」
「わ〜〜嬉しい!!やっと届いたんだ!!」
一気にテンションがあがる。
前々からファンのみんなに、私達のキャラクターグッズを作って欲しいと熱望されていた。
そしてつい先日、やっと試作品の制作を依頼したのだ。
今回出す予定なのは、要望が多かったアクリルキーホルダーと、缶バッジ。
まだ封の開いてない小さな段ボールを持ち上げる。
「まだ開けてなかったの?」
「勝手に開けたらお前、キレるだろーが」
「たしかに……!!」
私の性格をよくわかっていらっしゃる。
伊達に長年幼馴染やってない。
「開けて良い!?」
「どーぞ」
「やった〜〜」
ワクワクしながら段ボールのガムテープを剥がして蓋をあける。包んでいるぷちぷちを丁寧にはずしていき――
中に入っていた試作品を見た瞬間、
「わぁ……!!可愛い〜〜〜!!!」
瞳を煌めかせながら叫んだ。