配信終了後、幼馴染実況者の本性が悪すぎる

これが――学校での“私”だ。

言いたいことはたくさんある。
でも、いざ相手を前にすると言葉が詰まって出てこない。

私が“本当の自分”を出せるのは、家族と、凪やおばあちゃんの前と、実況中だけ。

小さいころから、なぜか私は人の視線や声のトーンに敏感だった。

笑っているのに、目が笑っていなかったり、
褒め言葉を言っているのに、声のトーンが微妙に下がっていたり。

そんな人の裏の感情が、
対面すると透けてみえた。

だから、変に緊張してしまう。

“こう言ったら、きっとこう思うのかな”とか。
“こう言ってくれてるけど、本心は違うんだろうな”とか。

そういうことを、どうしても考えてしまう。

そして、考えれば考えるほど、
喉が締められたようになって、出したい言葉を奪う。

そんな自分が嫌だった。

けれど、そんな私の前に現れた男の子が、凪だった。



小学校に入って一ヶ月後、凪は転校してきた。

そして、私の隣の席になった。

「お前、名前なに?」

「……え」

席につくなり、凪はそう聞いてきた。

まっすぐに見つめてくる黒い瞳。
整った顔立ちの綺麗な子。
そのくせ、声はぶっきらぼうで口調も雑。

第一印象はちょっと怖そうな男の子だった。

私はぐっと喉をつまらせながら声を出した。

「……うか」

「は?きこえねぇ」

「……さくらふうか……」

もう一度、今度は聞こえるくらいの大きさで言った。

――はずなのに、凪は眉を寄せた。

「声ちっさ。全然きこえねー」

「……っ」

初対面なのに、
まったく遠慮ない言い方だった。

絶対、聞こえてたでしょ!

そう思ったその瞬間、なぜかムッとしてしまって、気づけばその感情がそのまま言葉にのって出た。

「佐倉楓花!」

思っていたよりも大きな声だった。

すると、凪は目を丸くした。

その表情に、ハッとしてしまう。

自分でもこんなにはっきり声を出せたことに驚いた。すぐに、続く反応が怖くて、胸がギュッとする。

けど――

「なんだ。声でるじゃん」

「え?」

「ぼそぼそしゃべるな」

「な……」

「今みたいにはっきりしゃべれ」

「……は?」

次から次へと放たれる、無遠慮極まりない物言いに、一瞬言葉を失った。

え、なにこの子。
初めましてで、なんでこんなにズバズバ言われないといけないの?

沸々と怒りが湧き上がる。

――けど。

その子の瞳は真っ直ぐだった。

表裏なく、本当にその時思ったことをただ口から出してるだけ。それがはっきりわかった。

だからこそ――

「……ちゃんと、聞きとってよ」

「は?」

「そっちが、ちゃんと聞きとって!」

私も自分の思ったことをそのまま口から言えていた。

そんな私に、凪はポカンとした後に。

ふっと笑って――

「さっきまで暗いやつかと思ってたけど、そーでもないんだな」

また失礼な言葉を返した。

でも。

それが。

――裏のないその言葉がすごく“楽”で。

家族以外の人に、自分をさらけ出せたことが、
どうしようもなく嬉しかった。

それが――私と凪の始まりだった。
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