一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
「そんなことないわよ。お姉ちゃんは綺麗だもの」

紗良は笑うけれど、私は首を振った。

「綺麗、ね。花は綺麗でも、売れ残ることはあるわよ」

冗談めかして言った言葉に、自分でも少しだけ苦い思いが混じる。

店を出ていく二人を見送りながら、私はカウンターに肘をついた。

未来ちゃんの温もりが、まだ指先に残っている。

幸せそうな家族の姿は眩しいけれど、同時に私自身の輪郭をどこか希薄に感じさせる。

私にとって、この店と花たちが、今のところの全てだ。

「恋も結婚も、私には遠いもの……か」

独り言は、店内に飾られたトルコキキョウの香りに吸い込まれていった。

明日もまた、花を束ねよう。

誰かの幸福を祝う花を、私は今日も変わらず選び続けるのだ。
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