一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
胸の奥が、じんわりと温かいもので満たされていく。

この街で、誰かが私の店を……いえ、私を見ていてくれたという事実に、視界が少し潤んだ。

「今日、思い切って来てよかった」

彼のその言葉は、私の胸の扉をそっと叩いた。

「ありがとうございます。……そんな風に言っていただけるなんて、花屋としてこれほど嬉しいことはありません」

私は深く頭を下げた。

再び顔を上げると、彼は手に持った花束を少し下げ、真っ直ぐに私を見つめた。

「深瀬仁也と言います。……あなたは?」

名前。それは彼と私を繋ぐ、最初で最後の境界線のように思えた。

私は少しだけ勇気を振り絞り、自分の名前を口にする。

「……結城、美波と言います」

「美波さんか。……いい名前だ」

彼が私の名前を呼ぶ。

その低く心地よい声の響きが、耳から心臓の奥へと伝わり、胸がキュンと甘く鳴った。
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