一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
店は駅から少し離れている。

ひっそりとしたこの場所で、私は今日も花を束ねる。

結婚、なんて言葉は。

今の私にはあまりにも現実味がなくて、まるでショーウィンドウの向こう側にある別世界の話のようだ。

「さて、明日もまた頑張らないと」

私はエプロンを締め直し、自分に言い聞かせるように大きく息を吸い込んだ。

今日も一日、誰の主役にもなれなかったけれど、この店には私の居場所がある。

今はそれだけで十分だと言い聞かせながら、私は再び花と向き合った。

その時は、まだ誰かがドアを開けて、私の日常を塗り替えるなんて夢にも思っていなかった。

翌朝、洗面台の鏡に映る自分に向かって、私は小さく息を吐いた。

「歳取ったなぁ」
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