一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
指先で頬を触れると、かつての弾力はどこへやら、少しだけ心もとない感触が返ってくる。

鏡の中の髪にはツヤが減り、目元には消えない影が宿っていた。

私は深呼吸をして、愛用しているコクのあるクリームを手に取った。

「さあ、今日もお願いしますね」

顔全体に丁寧に塗り広げていく。これが毎朝の儀式だ。

「客商売だもの。少しでも綺麗に見せた方が、花だって綺麗に売れるわよね」

そう独り言を言いながら、鏡の中の自分と向き合う。

ほんの少し前まで、私は自分の顔を鏡で見るのが怖かった。

ほうれい線が深くなったんじゃないかとか、目のシワやシミが目立っているんじゃないかとか、そんなことばかり気になっていた。

「でも、今は気にしない。……気にしないようにしているの」
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