一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
彼が財布から小銭を出し、私がブーケを包み終えると、彼はそのまま彼女の方を向いて花を差し出した。

彼女は驚いたように目を見開き、それから花束を受け取って幸せそうに抱きしめた。

「え、これ……ありがとう」

「今日で、一周年記念なんです」

彼が照れくさそうに笑う。

私は思わず自分のことのように心が弾んだ。

「まあ、一周年の記念日! それは本当におめでとうございます」

「ありがとうございます。記念日のお花、欲しかったから嬉しい」

「それは良かったです。どうぞ、末永くお幸せにね」

二人が嬉しそうに店を出ていく。

繋いだ手が、今の私にはとても眩しく見えた。

「幸せのおすそ分け、いただいちゃったな」

二人が去った後のドアを眺めながら、私は独り言をこぼした。
< 8 / 30 >

この作品をシェア

pagetop