一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
そう言えば、私にもそういう時期があったっけ。

ずっと昔のことすぎて、少しだけ胸の奥が切なくなる。

抱えきれないほどの花を腕に抱き、世界が急に色づいたような気持ちになったあの頃。

あの喜びと温もりが、私が花屋になるきっかけだった。

「今の私には、もう関係ない……なんて、ちょっと寂しいわね」

私は小さく肩をすくめ、また新しい花を束ね始めた。

街はこれから夕暮れに向かっていく。

私のこの店にも、いつかあんな風に、誰かの特別な記念日のための花束を求めてくる人が現れるだろうか。

今はまだ、その人が誰かを知る由もない。

ただ、静かに明日もこの場所で花を整えよう。

私が今の自分を嫌いにならないために。
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