とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「もし良ければ、うちに来ない?」
「……家、ですか?」

 いきなり家に誘われるとは思っていなかった愛梨は、眉をひそめて警戒心を強くする。

「いきなり家とか言って驚かせちゃったよね。たまたまなんだけど、兄からたくさんいろいろなワインをもらってさ、食べ物さえ調達出来れば、ちょっとしたパーティが出来ちゃうくらいにね」

 ワインと聞いて、愛梨は目を大きく見開いた。お酒の中でもワイン目がない愛梨の心を揺らすには十分なものだった。

「無理にとは言わないよ。何もしないって誓約書を書いてもいいし。でも家の方が気兼ねなく話せるかなって思って」

 そこまでして家に行く意味があるのかはわからなかったが、いろいろなワインには興味を惹かれる。それに誓約書まで書いてまで家で飲もうと言う楓介の熱意を感じ、つい笑ってしまった。

 でも先ほどまでは作り笑いすら出来なかったのに、自然と笑顔が漏れたことに、自分でも驚いてしまった。

 再会したばかりの、そこまで深く話したことのない人の家に行く──それがいいことなのかはわからなかったが、彼といれば何も考えずにいられるような気がしたのだ。

「じゃあ……何か買っていきましょうか……?」

 悪いことをするような気持ちになるのは、真面目すぎる性格故かもしれない。

 楓介が本当に下心なく誘っているのかは想像が出来ないが、何かあったとしても、今はどうでも良かった。

「どこかオススメのお店とかある? この辺りはあまり詳しくなくて」
「オススメというか、そこのスーパーのお惣菜は美味しいですよ」
「なら、そこで買って行こうか」

 愛梨が駅の方を指差すと、二人はそこに向かって歩き出した。
< 10 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop