とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「近くで打ち合わせがあったんだ。ちょうど終わって帰ろうとしてたら、佐津川さんが見えたからこえをかけちゃった」
「あぁ、そうだったんですね……じゃあ私はこれで──」

 楓介の顔をまっすぐに見ることが苦しくて、俯きがちに答える。こんな状態の自分を見られたくなくて、すぐさま背を向けようとしたが、何故か腕を掴まれてしまう。

「……なんでしょうか……」
「あのさ、もしまだご飯食べてなかったら、これから一緒にどうかな」

 掴まれた手は軽く解け、引き止められただけなのがわかる。

「でもそれは、高田くんが元気になってから四人でって言ってましたよね」

 怪訝な表情でそう言うと、楓介は困ったように視線をぐるりと回した。

「あぁ、そうだよね。んー、今まで佐津川さんと二人で話したことがなかったから、一度話してみたいなぁって、実は高校生の時から思っていたんだ。でも、そうだよね、言ったことに責任持たなきゃね」

 困ったように笑う彼を見て、少しだけ気持ちが和らいだ。それはホッとするような不思議な感覚で、もしかしたら今は誰かと一緒にいる方が気が紛れるような気がした。

「……本当は私も、高校生の時から津山さんと話してみたいって思っていました」
「えっ、そうだったの?」
「でも私、あまり話し上手じゃないし、面白くないと思いますけど……」
「そうかな。話してみないとわからないと思うよ」
「そうでしょうか……」

 どちらかといえば聞き上手なのだと思う。祥子といても、相槌を打ってる回数の方がはるかに多い。

 すると楓介は何やら空を見上げて考え事をするような仕草を見せたかと思うと、大きく目を見開いて笑顔を浮かべた。
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