とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
 焦茶色のドアの鍵穴に鍵を差し入れ、微笑む楓介に部屋の中へと招き入れられる。

 愛梨は困惑しながらも、緊張した面持ちで玄関へと足を踏み入れた。

 外観と同じようにグレーのタイル張りの土間と、黒い靴箱。彼はもう少し淡い色合いのイメージを抱いていたので、大人の男性らしさを感じる。

「このスリッパ履いてね」
「ありがとうございます……」

 一畳ほどの玄関ホールに立つと、正面にあるドアが開いており、奥には白い床のリビングが見えた。左右にあるドアは閉まっており、場所的に洗面所とトイレがあるように思えた。

 リビングに入ってすぐ左にはアイランドキッチン、その正面にはダークグレーの布ばりのソファと黒いローテーブルが置かれている。

「ソファに座って待っててくれる?」

 上着を脱ぎながらソファを指差した楓介は、さらに奥の部屋へと消えていった。

(あそこが寝室なのかしら)

 ジャケットを脱ぎ、ネクタイをはずしてワイシャツ一枚で戻ってきた楓介は、キッチンに置いていたスーパーの袋の中からお惣菜のパックを取り出していく。

「お皿に盛り直した方がいいかな?」

 そう聞かれてしばし考えたが、心に余裕がないせいか、その作業に必要性を全く感じなかった。

「……お腹空いているし、このままでいいと思います。洗い物も少ない方がいいですよね」

 愛梨が面倒くさそうに答えると、何故か楓介は嬉しそうな笑顔を浮かべた。

「実は俺もそう思ってたんだ。佐津川さんも同じで良かった」

 まさかそんな反応が返ってくるとは思いもしなかった愛梨は、俯きがちにパックを手に抱えて、ローテーブルへと運んでいく。

 適当に答えただけなのに、あんな笑顔を見せられ、どう反応していいかわからずに動揺をした。

 背後から、お皿と割り箸を持った楓介がやってくる。

「佐津川さん理論で、洗い物が少ない割り箸にしてみた」
「……いいと思います」
「でしょ? ところで佐津川さんって、どんなお酒が好き? 一応いろいろ揃ってるとは思うんだけど、冷蔵庫の中を見てみる?」

 楓介が冷蔵庫を指差したが、先ほどの会話を思い出し、彼の方に向き直る。

「ワインが好きなんです。特に白。だからさっき言っていた、いろいろな種類のワインが気になってます」
「そうだったんだ。じゃあちょっとこっちに来てみて」

 彼はテレビの真横に置かれているワインセラーの前に立ち、手招きで愛梨を呼ぶと扉を開けた。
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