とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「明日は土曜日だし、休みだよね?」
「えぇ、まぁ……」

 嫌な予感がして身構えた瞬間、「じゃあ朝まで飲み明かしても問題ないってことだね」と、満面の笑みを浮かべた楓介が言った。

 男性の部屋に一人で来るだけでも不安だったのに、さらに朝までといわれて困惑した愛梨は目を瞬き、グラスのワインを一気に口の中へ流し込むと、唇をギュッと閉ざしてしまう。

(やっぱり軽率な行動だったかもしれない。何があっても文句言えないな……)

 後悔しながらも、そんなことが起きない確信のようなものがある。

 昔から明るくて可愛い祥子の影で、地味で大人しい愛梨は目立たず過ごしてきた。人前に立つことや注目を浴びることが苦手で、人見知り。出来れば静かに過ごしたいと思っていた。

 だから祥子が光一と会う時に楓介と顔を合わせても、とりあえず笑顔でその場にとどまるだけ。その空気を察してか、愛梨に会話は振らなかった。

(やっぱりさっきの私、様子がおかしかったんだろうな。きっと気にしてくれたのかもしれない。津山くんってそういう気遣いの出来る人だったから)

 黙って祥子の隣に立っているだけなのに、時折楓介が笑顔でこちらを見ていることがあったのを思い出していると、空になった愛梨のグラスに再びワインを注ぐ楓介の姿が目に入った。

「そういえば佐津川さんって、コンビニスイーツとか好きだったよね。今も好き?」

 急に話題が変わり、愛梨は困惑した様子で小さく頷いた。

「俺と光一、新作を見つけるとつい買っちゃうんだ。だって普段はだんまりな佐津川さんが、すごく美味しそうに食べてくれるからさ、結構新作情報気にしてたんだよ」

 確かに時々「こんなの見つけたけど、知ってる?」て、スイーツを持ってきてくれることがあった。

 自分の生活範囲にあるコンビニとは違う店舗のものが目新しくて、もらうたびに目を輝かせたのを覚えている。

 だがそれは自分たちの買い物のついでだと思っていたから、まさかわざわざ調べてくれていたことに、驚きと喜びを感じた。

(あの頃は純粋にスイーツを楽しめていたんだけどなぁ……)

 懐かしさと苦しさに胸がいっぱいになって、苦笑しながらワインを飲み干す。
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