とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「す、すみません! 変な声が出ちゃった……」
「ごめんね、俺もびっくりさせちゃったみたいで」

 申し訳なさそうに引っ込めようとした彼の手を、愛梨は衝動的に掴んで、自分の方へと引き寄せる。

(普段の私なら絶対にこんなことしないのに……)

 お酒が入っているからか、気持ちが少し大きくなり、ストッパーが効かなくなっている。

 それと同時に体の奥で小さな火種が生まれたような熱さを感じ、もっとこの感触に酔いたいと思った。

「もう少し、このままでいてもいいですか……?」
「佐津川さんが嫌じゃないなら」

 愛梨は楓介の手を首元に持っていくと、冷たい感触にホッと息を吐いた。

「やっぱり冷たくて気持ちがいいです……」
「それなら良かった。やっと自分から甘えてくれた感じだね」

 こんなに親切な人は、これまで愛梨の近くにはいなかったかもしれない。

 心地よさと喜びに、胸がキュンと締め付けられ、体の奥に感じた火種が疼きに変わっていく。

 だがそれが愛梨を戸惑わせた。それを再確認するため、愛梨は楓介を見つめて切り出した。

「私、実は人に触られるのが苦手なんです」

 これは親しい人にしか話しておらず、もちろん祥子には打ち明けていた。

 小さい頃から手を繋ぐことさえ緊張し、行事などでクラスメイトと繋がなければならない時は、本当に苦痛を覚えた。

「えっ! それなのに急に触っちゃってごめんね!」
「あっ、違うんです……そういうことではなくて……なんか急に触られると鳥肌が立つというか、気持ち悪くてゾワゾワしちゃうのに、津山くんには何も感じなかったというか、気持ちよかったからびっくりしちゃって……」

 そう口にしながら、過去の映像が頭を()ぎっていく。

「大学生の時、初めて恋人が出来たんですけど、キスをされた時にやっぱり鳥肌が立ってしまって。だからそれ以上のことは不快感しかなくて出来なくて、その場で別れるって言って逃げ出したんです」

 楓介の手が、先ほどよりも遠慮がちに愛梨に触れているのがわかる。

 そうなることがわかっていたはずなのに、やはり引かれてしまうと苦しくなって、逃げ出してしまいたくなった。
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