とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「えっ、なっ……!」
「お風呂沸かしたから、ゆっくり入って体を温めて。それから朝食にしよう」

 脱衣所に下ろされると、彼は布団だけ持って扉を閉める。

「昨日の服は乾燥機に入ってるから、取り出して着替えてね」
「あ、ありがとうございます……」

 彼がドアのそばから離れた気配を感じ、愛梨はふうっと息を吐いた。一人になって、少しだけホッとした。

 脱衣所は白で統一された清潔感があり、浴室とは透明のガラスの仕切りで分かれていた。

 浴室に入り、シャワーを出して髪を洗いながら、鏡に映った自分を見て大きく目を見開いた。

 あの時楓介の目に見えていたのは首元だけだったかもしれないが、よく見れば胸や腹部、足にもいくつかキスマークがついている。

(キスマークの付け方を知ってるって、結構経験あるのかしら。津山くんも同じくらい気持ちよくなってくれたってことなら安心かな……)

 してもらうだけでなく、互いに同じ感情を共有出来たのなら、昨夜のことも素直に受け入れられる気がした。

 昨夜は愛梨の願いを聞き入れてくれ、今朝はお風呂を沸かして、朝食まで作ってくれている。こんなにも至れり尽くせりでいいのか、不安になるほどだ。

 湯船に浸かり、そっと目を伏せる。ふと祥子のことが頭に浮かび、一瞬息が止まった。

 あんなに苦しくて仕方なかったのに、昨日の夜から今まで、全く思い出しもしなかった。

(津山くんがきっと、私が思い出さないように構ってくれたからかな……)

 祥子のことも光一のことも、気にならないわけではないが、自分自身をもっと気にしてかけようと思えたのは、楓介が自分を心配してくれたからに違いない。

 極度の緊張状態から救ってくれたのは、他でもない楓介なのだ。

 風呂から上がり、乾燥機の中から服を取り出して着替えを済ませる。しかし自分が化粧をしていないことに気づいて愕然とした。

 だがよく考えてみれば昨夜は相当な醜態をさらしているのだ。すっぴんくらい、もうどうでもよく思えてくる。

 腹を括ってリビングに行くと、昨日二人で飲んでいたローテーブルに温かな食事が準備されているのが目に入った。
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