とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「わぁ……津山くんって、こういうことも出来ちゃうんですね」
「すごいでしょって胸を張りたいところだけど、実は全部コンビニで買ってきたおかずを、電子レンジで温めただけなんだよね。でも俺が作るより、断然こっちの方が美味しいよ」

 ワンプレートのお皿には、煮魚とひじきの煮物とサラダが載っており、ワカメの味噌汁からは湯気が立ち上っている。

 楓介がこれからを準備している様子を想像して、クスッと笑ってしまった。

「準備してくれた気持ちだけで嬉しい。ありがとうございます」

 キッチンからマグカップを持ってやってきた楓介は笑顔を浮かべ、ソファに座る。

「ちょっと食べにくくて申し訳ないけど、どうぞ座って」
「ううん、こちらこそ何から何までお世話になっちゃって、なんだか申し訳ないです」
「そんなふうに思わないで。でも、昨日より元気そうで安心した」

 あれだけ動いても元気だということは、やはり心の問題だったのだと改めて思った。

 楓介が準備してくれた食事もすんなりと喉を通り、その美味しさに頬が綻ぶのを感じる。

 隣に座る楓介に目をやると、彼もまた美味しそう頬張っている。和やかな時間が二人を包み込んでいるようで、愛梨は少し嬉しくなった。

 ふと彼の唇に目がいき、思わず心臓が高鳴った。何度もキスをしたことと、柔らかな唇の感触を思い出して、体がキュンとときめいた。

(キス、気持ちよかったな……。こんなに名残惜しいなら、もっとしておけば良かったかも)

 その時、テーブルのそばに置いていた愛梨のカバンの中から、メッセージの受信を知らせる音が鳴り、思わず体が硬直した。

「あっ、ちょっとごめんなさい……」

 恐る恐る画面を見てみると、案の定祥子からのメッセージが届いている。

 気が進まなかったが、意を決してメッセージ画面を開く。するとそこには、昨日の言葉を謝罪する文が書かれていた。

『昨日はごめんね。不安とストレスで最近イライラしてて。本当にごめんなさい』

 決して気分が良くなる文面ではなかったが、いつまでもこのままというわけにはいかないだろう。

 既読になってしまったし、とりあえず『うん、大丈夫。私もいろいろ忙しくて、返事が出来なくてごめんね』と返信した。

 "いろいろ"と濁したが、仕事が忙しかったのは事実なのだ。

 しかし送信してからも気持ちは晴れず、口からため息が漏れた。

「大丈夫?」

 隣で見ていた楓介が、心配そうに愛梨を見つめていたので、首を傾げて苦笑する。

「どうでしょう……。でも祥ちゃんも今はすごく辛いと思うから……」

 きっと光一はまだ目を覚ましていないだろう。今日も不安に暮れていると思うと、愛梨の胸も苦しくなった。
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