とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
* * * *

 玄関で靴を履いている時、愛梨の背後でずっと「家まで送るよ」と楓介は言い続けたが、「ちゃんと帰れるから大丈夫」と丁重に断った。

 昨夜からお世話になり続け、これ以上してもらったら、どうお返しをすればいいかわからなくなる。

「何かあったらすぐに連絡してね」
「うん、ありがとう」
「あっ、まだワインもたくさんあるから、またうちで家飲みしよう」
「うん、楽しみにしてる。本当にいろいろありがとう」

 そう言って彼の部屋を後にした。

 マンションを出て、太陽の光を浴びる。大きく深呼吸をすると、久しぶりに清々しい気分になった。

(美味しいワインと食事、毒も吐き出して、それから──)

 昨夜のことを思い出し、恥ずかしくて両手で顔を覆った。

(自分から誘ったとはいえ、まさか楓介くんと初体験しちゃうなんて……。しかも初めてなのに気持ち良かったし、おかげで気分までスッキリしてしまった)

 体験するまでは半信半疑だったが、ようやく発散するという意味を理解できた気がする。

 最寄り駅の改札をくぐり、階段を上ってベンチに腰を下ろす。下半身は心地よい気だるさを感じ、心も満たされていた。

 今なら深く考えずに、祥子と向き合える気がした。

 スマートフォンを取り出して、祥子からのメッセージを開く。まだ少し緊張感はあるものの、意外と心は落ち着いていた。

(これも全部楓介くんのおかげなのかも)

 彼の部屋に行く前とは明らかに違う感情に包まれていた。

(それにしても、なんかすごく女性の扱いが慣れた感じだったよね。キスも……いろんなことが上手すぎてびっくりだったけど)

 唇にそっと触れると、胸が高鳴る。

 手順がわからない愛梨を優しく導いてくれ、彼が与えてくれる快楽の波間に、何も考えずにただのまれていればよかった。

 そのおかげで、多少の気恥ずかしさは残るものの、後悔は全くなかったのだ。

(それにしても、どうして楓介くんには触られても不快感を覚えなかったんだろう)

 それが一番の謎だった。

(清潔感があるからかしら。でも清潔感のある人なんて、世の中にたくさんいるし……)

 知っている人だからだろうか。とはいえ楓介と再会したのは一週間前だし、会社の人の方が長い時間一緒に過ごしている。

 理由はまだ不明だが、これまで無理だと思っていた体験が出来たことで、少し心が楽になった気がした。
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