とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
7 新しい自分
 今日は三回目の試食会だった。

 もちろん緊張はしたが、前回のように無理に引っ張り出したものではなく、今回は湧き上がってきたアイデアを形にしたものだったので、伝えたいことがたくさんあった。

 前回はフルーツをメインで考えていたが、今回はあえてフルーツの量を減らし、自社のマフィンをメインに使うことにした。

 マフィンにクリームや砂糖菓子で可愛いらしくデコレーションをし、周りにカットした様々なフルーツを散らす。まるで花畑のような、写真映えするプレートを目指した。

 静かな部屋の中。響くのはガラス製の皿とフォークが触れる瞬間の音のみ。

 表情すらも読み取れない、誰もが呼吸を忘れているのではと勘違いしてしまうほどの、静寂に包まれていた。

 部長が皿を置き、口の中にあったものを全て飲み込んでから、ゆっくりと口を開いた。

「見た目がとにかく華やかになったね。女性は写真が撮りたくなるんじゃないかな」
「はい! それを狙ってみました」
「オリジナリティがあるしね、自社のマフィンを使うというのがまたいいね。すごく斬新だよ」
「現場では売り上げを心配する声も上がってましたし、相乗効果で人気に火がついてくれたら最高ですよ」

 隣に座っていた社員からも声が上がり、愛梨は久しぶりに自信と満足感に包まれていた。

「じゃあこれでいこうか」
「ありがとうございます!」

 さらに部長からの了承を得られ、興奮と共に、ようやく重い重圧から解放されて安堵した。

 試食会が終わり、部長たちが部屋を後にしたところで、隣にいた千歳が満面の笑みを浮かべ、愛梨を労うように背中をさすってくれている。

「お疲れ様ー!」
「千歳さーん! ありがとうございます!」

 肩の力がふっと抜けた愛梨は、泣きそうな顔で千歳に抱きついた。
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