とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「佐津川さんはどう思います⁉︎」
「えっ、うん、良いことも人それぞれだしね」
「ですよね!」

 愛梨がこうしてやる気を取り戻せたのは、やはりあの日のことがあったからに他ならない。

(なにか楓介くんにお礼がしたいけど、きっといらないって言われそう)

 笑顔で拒否する楓介が頭をよぎり、思わずクスリと笑ってしまったが、彼と体を合わせたことを思い出し、つい恥ずかしくて頬を染めた。

「でもまさかうちのマフィンを使ったメニューを考えるなんてね。普通は思いつかないでしょ」
「たまたま友達の家でカップケーキを食べた時に、マフィンのことを思い出したんです。それでいけるかなって思って」

 食べさせてもらったというのが正しい表現だが、そのことは頭から追い出した。

 自分で注文をしたものが届いた日、箱を開けた愛梨は、あまりにも可愛いカップケーキを前にして、食べることも忘れてうっとりと見惚れてしまった。

 どうしたらこんなに可愛いカップケーキが作れるのか、もちろん技術も素晴らしいのだが、デザイン性にも衝撃を受けた。

 そしてもったいないと思いながらも、口に入れたケーキは本当に美味しくて、ハイカロリーとわかっていてもペロリと完食し、慌ててウォーキングに出かけたのだ。

「へぇ、それはタイミングのいい出会いだったね。その友達が男か女かは聞かないでおいてあげるわ」
「えっ⁉︎」
「うふふ。いいのいいの、ちゃーんとわかってるから。いやぁ、ようやく良い週末が迎えられそうだわ!」

 不敵な笑みを浮かべた千歳に、愛梨は動揺の色が隠せず、挙動不審になる。

「なっ、なんのことですか⁉︎」
「おぉっ、否定しないってことは異性の可能性アリですね!」

 それを見ていた修も、千歳と一緒になってニヤニヤしながら愛梨を見る。

「ほ、ほらほら! もう戻りましょう! まだ仕事は山のようにあるんですから」
「はいはい、わかりましたよー」

 このままではいらぬことを口走ってしまいそうな気がした愛梨は荷物をまとめると、二人の背中を押しながら、急いで部屋から出て行く。

 その時、マナーモードにしていたスマートフォンの震えを感じて画面を見た愛梨は、驚いて目を見開いた。

『良かったら、これからランチとかどう?』

 メッセージは祥子からで、急な誘いであったが、話したいと思っていたのは愛梨も同じだった。

 祥子の職場はそこまで近くはないが、もしかしたら光一の病院に行く途中なのかもしれない。

 今日は社員食堂で食べようと思っていたから、それが外で食べることになっても構わなかった。

 愛梨は『了解』とだけ打つと、再び仕事に戻った。
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