とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
 だが光一がこうなってしまった今、万全の体調で結婚式をした方が良いと考える二人の両親の気持ちもよくわかる。

「愛梨はどう思う?」

 祥子にじっと見つめられると、彼女が求めている答えを言わなければという感覚に陥る。

「早く高田くんが良くなって、結婚式をあげられるといいね」

 ずるいのはわかっていたが、わざと曖昧な言葉を選んだ。

 すると祥子は微笑み、「私もそう思う」と言ったので、愛梨はホッと胸を撫で下ろす。

 その時、二人のテーブルに頼んでいたサラダとパスタが運ばれてきた。会話がぷつりと切れたのをきっかけに、話題を変えようとして急いで口を開く。

「ところで、この間久しぶりに津山くんに会ってびっくりしたよ。今も繋がっていたんだね」

 急に話題を変えたことに違和感を持たれなかったか心配になったが、祥子の顔がぱっと明るくなったので愛梨は安堵した。

「そうそう、津山くんって大学は海外留学してたから、一時帰国した時くらいしか会ってなかったんだけど、メールとかのやりとりはずっとしてたんだよね。自由に生活してたのに、とうとうお兄さんに強制的に帰国させられたって言ってたよ」

 先日も楓介からそんな話を聞いたのを思い出す。

「家族経営の会社をやってるらしくて、今度新しい形態の飲食の店舗を出すから、それを任されるとかなんとかで呼ばれたらしいんだよね」
「えぇっ、それってオーナーってこと?」
「なのかなぁ。あんまり詳しく聞いてないからわかんない」

 最後の方は投げやりになった祥子は、目の前のパスタの匂いを大きく吸い込んでから、美味しそうに食べ始めた。

(お兄さんって、ワインのイベントを企画したっていう人のことだよね。ワインを出すような飲食店……どんなお店なんだろう)

 気になったが、前回聞いた時に言葉を濁されたことを思い出し、素直に教えてもらえるとは思えなかった。
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