とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
* * * *

 お店の前で祥子と別れた愛梨は、会社に向かってとぼとぼと歩いていた。

 いろいろ話そうと思っていたのに、祥子の前に座ると言葉がうまく出てこず、普段よりも話せなかったようにも思える。

 このまま会社に戻るには少し早かったので、コンビニに立ち寄り、スイーツ売り場の前で立ち止まった。

 新作のスイーツを発見し、手に取ってみたが、あまり気持ちがのらずに棚に戻す。

(祥ちゃんと話していたのに、楽しくなかった……。スイーツを見ても何も感じないなんて、やっぱり私、前のことを引きずっているのかな……)

 落ち込んだ気分のまま、何も買わずに店を出たところで、マナーモードにしていたスマートフォンが震えているのを感じ、ポケットからそっと取り出す。

 心のどこかで『祥ちゃんだったらどうしよう』という不安が過ぎったが、画面を見た途端に頬が緩む。

 スマートフォンを耳に当てた瞬間、『愛梨?』と名前をよばれ、どこかくすぐったくなる。

「うん、急に電話なんてどうしたの?」
『今日の試食会、どうだったかなって気になって』

 自分のことを気にかけてくれていたのだと知り、嬉しくて胸がきゅっと熱くなる。

「ありがとう。無事に乗り越えました!」
『良かったー。心配してたんだよ』
「気にしてくれてありがとう。楓介くんが良いアイデアをくれたからだよ」
『そうなの? 俺、何かしたっけ?』
「そうなの。だからすごく感謝してる」

『じゃあ無事に乗り越えたお祝いに、今夜うちでタコパしない?』

 一瞬、言葉を失った。まさか今日二度目の誘いを受けるとは思いもしなかった。

「タコパって、たこ焼きパーティーってこと?」
『そう。なんか急に食べたくなっちゃって。今日はデザートにマカロンがあるんだ。どうかな?』

 コンビニのデザートには気持ちがのらなかったのに、マカロンと聞いて胸が高鳴り出す。

 だが前回の反省で、簡単に男性の部屋に行くのはいかがなものかと悩み始める。

 するとその想いを見透かされているかのように、『大丈夫、タコパするだけだよ』と楓介の声が返ってきた。

(前回だってそう言って、ワインを飲むだけで終わらなかったのに)

 でもそれは愛梨自身が望んだことだったから、文句は言えない。

 ただそのことを抜きにしても、楽しかった記憶しか思い出せなかった。

「……材料はある?」
『もちろん』

 もし断れば、その材料が無駄になってしまうかもしれない。むしろ準備してくれたのに行かないのは失礼に思えた。

「じゃあ行こうかな……」
『なら一緒に帰ろう。今日も愛梨の会社の近くで打ち合わせだから、終わる頃に連絡するね』
「うん、待ってる」

 電話を切り、スマートフォンをぎゅっと抱きしめる。

 先ほどまでの暗い気持ちが消え、今は期待に胸が膨らんでいた。
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