とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
8 転がされてる?
定時の十八時をわずかに過ぎた頃、愛梨のスマートフォンに楓介からメッセージが届いた。
『前回と同じ場所にいるよ。急がなくていいからね』
前回と同じということは、あの横断歩道のことを指しているのだろう。
お昼の電話以降、残業にならないように残っていた仕事を気合いを入れて終わらせた。
そしてすでに帰り支度を済ませていた愛梨は、ソワソワしながら何げなく腕時計に目をやり、ゆっくりと立ち上がる。
普段は一番最後に帰ることの多い愛梨が、珍しく一番最初に席を立ったため、千歳と修が驚いた様子で顔を見合わせた。
「あの……お、お先に失礼します」
愛梨自身も慣れない言葉を口にしたせいで、声が上擦ってしまう。
すると千歳が嬉しそうに椅子の背もたれに倒れ込んだ。
「定時に帰るだなんて、もしかしてこれからデート?」
「ち、違いますよ! 友達と約束をしているだけで……」
「そんなムキにならなくても、ちゃんとわかってるから大丈夫よー。楽しんでおいでー」
「だから、そんなんじゃなくて……! と、とりあえずお疲れ様でした!」
「お疲れ様ー」
何を言っても言い訳にしか聞こえないという、妙な気まずさを感じながら、愛梨は逃げるようにオフィスを飛び出した。
(嘘でもいいから、女友達って言えばよかった……)
大きなため息をつき、到着したエレベーターに乗り込む。
一階に到着し、人の流れとともにエントランスを通り過ぎると、楓介との待ち合わせである横断歩道に向かって歩いていく。
するとスーパーのビニール袋を手に持った楓介が、こちらに向かって手を振っているのが見えた。
細身のグレーのスーツに身を包んだ楓介は、お世辞抜きにしても、視線を向けずにはいられないほどのオーラを纏っている。
そしてそんな楓介が愛梨に手を振ったものだから、愛梨自身も痛いくらいの視線を受けることになった。
周りの人からどんな感情を向けられているのかがわからず、不安でドキドキし始める。
『前回と同じ場所にいるよ。急がなくていいからね』
前回と同じということは、あの横断歩道のことを指しているのだろう。
お昼の電話以降、残業にならないように残っていた仕事を気合いを入れて終わらせた。
そしてすでに帰り支度を済ませていた愛梨は、ソワソワしながら何げなく腕時計に目をやり、ゆっくりと立ち上がる。
普段は一番最後に帰ることの多い愛梨が、珍しく一番最初に席を立ったため、千歳と修が驚いた様子で顔を見合わせた。
「あの……お、お先に失礼します」
愛梨自身も慣れない言葉を口にしたせいで、声が上擦ってしまう。
すると千歳が嬉しそうに椅子の背もたれに倒れ込んだ。
「定時に帰るだなんて、もしかしてこれからデート?」
「ち、違いますよ! 友達と約束をしているだけで……」
「そんなムキにならなくても、ちゃんとわかってるから大丈夫よー。楽しんでおいでー」
「だから、そんなんじゃなくて……! と、とりあえずお疲れ様でした!」
「お疲れ様ー」
何を言っても言い訳にしか聞こえないという、妙な気まずさを感じながら、愛梨は逃げるようにオフィスを飛び出した。
(嘘でもいいから、女友達って言えばよかった……)
大きなため息をつき、到着したエレベーターに乗り込む。
一階に到着し、人の流れとともにエントランスを通り過ぎると、楓介との待ち合わせである横断歩道に向かって歩いていく。
するとスーパーのビニール袋を手に持った楓介が、こちらに向かって手を振っているのが見えた。
細身のグレーのスーツに身を包んだ楓介は、お世辞抜きにしても、視線を向けずにはいられないほどのオーラを纏っている。
そしてそんな楓介が愛梨に手を振ったものだから、愛梨自身も痛いくらいの視線を受けることになった。
周りの人からどんな感情を向けられているのかがわからず、不安でドキドキし始める。