とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「そ、そういえば、楓介くん、新規オープンのお店を任されているんでしょ? 祥ちゃんから聞いたよ」
「……あぁ、聞いちゃった?」

 楓介は困ったように苦笑しながら、ぽりぽりと頭を掻いた。

「んー、なんて説明したらいいのかな。今はその新しいプロジェクトに関わっていて、打ち合わせが愛梨の会社の近くなんだ。だいぶ固まってきたから、そろそろ次の段階に入るところかな」
「じゃあこれからも時々打ち合わせがあったりするの?」
「そうだね。そのたびに愛梨を食事に誘っちゃうかも」

 いたずらっぽく笑った楓介を見て、愛梨の胸が高鳴った。こんな素敵な男性なのに、可愛いと思ってしまった自分を反省する。

「誘ってもらえたら嬉しいかも。普段は一人でご飯食べてるし。でも楓介くんは、本当は一人がいいんじゃない? もし気を遣ってくれてるなら──」
「だったら今日も誘ってないよ。それに……なんかわからないんだけど、佐津川さんって俺と似てる気がするんだよね」
「似てる?」

 昼間に祥子にも同じことを言われたのを思い出し、愛梨は驚いて目を瞬いた。

「そう。同じような空気と時間が流れている気がするんだ。だから、一緒にいて苦痛とかなくて、むしろ安心感しかないというか。こんな友達って貴重な気がしちゃうんだよね」

 祥子に『似てる』と言われた時は不思議な感覚だったが、彼の言葉を聞いて、愛梨も腑に落ちるのを感じる。

「私も同じことを思ってた気がする。祥ちゃんと高田くんの隣にいる時、楓介くんが穏やかにその場を見守ってくれていて、なんだかそれがすごく心地良かったの」

 愛梨の頭には、あの時の情景や感情が少しずつ蘇り、つい言葉にも熱が入ってしまう。

 すると楓介は足を止め、ふと空を見上げた。つられて愛梨も空を見たが、暗闇が広がるだけで星は見えなかった。

「ねぇ愛梨、普段は見えないけど、実は空にはたくさんの星が輝いているんだよ」
「留学先ではよく見えた?」
「うん、たくさん。愛梨は星は好き?」
「ちゃんと見たことはないけど、満天の星ってどんな感じなのかなぁって興味はあるよ」

 高校生の時には埋まらなかった距離だが、今になって相手のことをもっと知りたいと思い始めている。

 今の二人には友達という媒体がいないからこそ、自分たちの意思とペースで距離を詰めることができるのだ。

「じゃあさ、見えないものがたくさん見える場所に、今度一緒に行ってみない? 案内役なら任せてよ」

 不思議と心が浮き立つような気分になる。彼となら楽しいに違いないと、確信している自分がいる。

 愛梨が頷くと、楓介は満面の笑みを浮かべ、再び家に向かって歩き始めた。
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