とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
 そしてしばらく待っていると、楓介は手にビニール袋を持って戻ってくる。

「えっ……何?」

 それを愛梨に手渡すと、視線で『開けてみて』と伝えてくる。

 袋には見覚えがあった。女性に人気のルームウェアのお店のもので、愛梨もお店には行くものの、値段を見て引き返すことが多々あった。

 そんなお店のものだったので、緊張しながら袋を開けた愛梨は、驚きと喜びの声が同時に出てしまう。

「これ、私がお店で悩んで諦めた部屋着だ」
「えっ、そうなの? なんか愛梨っぽいから買っちゃった」

 レトロなショートケーキのイラストが描かれたTシャツと、ハートモチーフのロングパンツのセットアップは、スイーツが大好きな愛梨がずっと気になっていたものだった。

「しかもこれ、結構高いよね……」
「あっ、値段見ないで買っちゃった」
「っていうか、どうして部屋着なんか……」
「この間、愛梨と一緒にご飯を食べて、たくさん喋って、すごく楽しかったんだ。だからまた来てくれたらなぁって思ってさ。ほら、友達の家にお泊まりする感じ?」
「……私、祥ちゃんの家すら泊まったことないよ」
「そうなの? それは意外……っていうか、もしかして友達の家にお泊まりしたのって──」
「うん、前回が初めて」
「そんな大事な初めてを、なんかごめん」

 楓介が申し訳なさそうに頭を下げたので、愛梨は顔と手を左右に同時に振る。

「違うの! たまたまそういう機会がなかっただけで、ほら、祥ちゃんはずっと実家暮らしだったし、私はあまり部屋に人を呼びたくなくて……。だから貴重な経験だったよ」
「じゃあこの部屋着、うちに置いておいていい? 洗濯はちゃんと俺がするから」

 愛梨の心を読んだかのように、すかさず楓介が言葉を追加したので、思わず吹き出してしまった。

「異性の友達の家にお泊まりだなんて、なんか悪いことをしてる気分」
「お互いに相手がいないし、いいんじゃないかな」
「そういうもの……?」
「そういうものだよ」

 楓介がたこ焼きを転がすのをボーっと眺めながら、食欲をそそる香りにお腹が鳴る。母親以外の誰かが作ってくれるご飯が、こんなにも嬉しいものだと初めて知った気がした。
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